「夜遅くに食事をすると太りやすい」と言われているが、この説を魚に応用した実証実験が行われている。
【映像】魚が夜に太るメカニズム
「栄養学の世界では栄養素の量と質だけでなく、食べる時間帯も重要視されており、こうした『時間栄養学』の魚類に関する研究を進めている」
こう話すのは長崎大学の平坂勝也教授だ。
??餌の高騰に悩む養殖業界を救う?
平坂教授は「魚に餌を与える時間帯を朝ではなく夜にすれば、短期間で脂の乗った美味しい魚が育つのではないか」という仮説を立てた。これが立証されれば養殖業者などにメリットがある。平坂教授によると、人間は光によって24時間周期の日周リズムを刻んでおり、淡水魚ではゼブラフィッシュの肝臓や筋肉でも人と同じように日周リズムがあることが分かったそう。この同じリズムが海産魚にもあるのかを検証すべく、養殖できる施設のある長崎鶴洋高校で、シマアジを使った飼育実験を始めた。
「朝8時にエサを与える群」と「19時にエサを与える群」の2群に分けて実験。水産クラブに所属する生徒にシマアジの体重や体長の測定、解剖などを手伝ってもらい、出た結果は…
「2週間の給餌試験において、夜にエサを与えた群の方が、血中の中性脂肪がおよそ1.7倍、筋肉中の中性脂肪がおよそ1.2倍増加した」(平坂教授、以下同)
仮説通り、夜に餌を食べた群のほうが中性脂肪が増え、脂の乗った魚に育ったのでだ。つまり魚も夜にエサを食べれば太ることが証明されたのだ。
「脂質を合成するような酵素が(日周)リズムを持っているため、その酵素の活性が高いときであれば、脂質が多く合成される」
この結果は、養殖業界にとって大きなメリットになると、平坂教授は言う。
「養殖業界では餌の高騰が問題になっている。エサのタイミングを変えるだけでエサの浪費防止、過剰な給餌を抑えて経済面、さらには養殖場の水質悪化という環境負荷の面でもメリットがある」
シマアジでの実験結果を受け、現在はブリの養殖にも取り組み、長崎大のプロジェクトで「JAPAN鰤」として海外に売っていきたいという。
証明された「魚も夜に食べると太る」という事実。海外への輸出強化にもつながりそうなこの試みに、今後も期待が寄せられる。
(『ABEMAヒルズ』より)
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