受章者の声
ちばてつやさん “全ての漫画家たちの創作活動への評価”
高橋睦郎さん “ボロボロになっても もっともっと過激に”
草笛光子さん “作品を楽しんでくださる皆様に感謝”
青木功さん “ゴルフは私の天職”
文化勲章を受章する漫画家のちばてつやさんは、東京生まれの85歳。17歳で漫画家としてデビュー、貧しくも誠実に生きる主人公を描いた作品やスポーツを題材にした作品などでヒット作を連発しました。中でも1968年に連載が始まったボクシング漫画「あしたのジョー」は「立て、立つんだジョー!」などの名ぜりふとともに大ヒット。ジョーのライバル、力石徹が作中で亡くなった時には、実際に葬儀が行われるなど社会現象にもなり、“戦後漫画史の金字塔”として、今も親しまれています。少年時代を旧満州で過ごしたちばさんは、過酷な引き揚げ体験をもとに反戦や平和の大切さを訴える活動も続けてきました。また、日本漫画家協会の会長も務め、後進の育成にも力を尽くしています。漫画家が文化勲章を受章するのは初めてで、ちばさんは「私の先輩たちから現在に至る全ての漫画家が子供の読み物と思われていた漫画を『文化』と認識してもらえるまでに育て上げてきました。今回は、その全ての漫画家たちの創作活動に対してご評価をいただいたのだととても嬉しく誇らしく思います。漫画がこれからもずっと読者にとって身近で親しみやすい『文化』として愛され続けてほしいと心から願っています」などとコメントしています。
文化勲章を受章する詩人の高橋睦郎さんは現在の北九州市出身の86歳。中学生のころ、古代ギリシャの詩に出会い詩の創作を始め、1964年に刊行の詩集「薔薇の木・にせの恋人たち」が三島由紀夫に絶賛され注目を集めました。詩集「兎の庭」や句集「十年」など、現代詩を中心に、短歌や俳句からオペラの台本や新作の能・狂言に至るまで幅広く創作活動を行ってきました。高橋さんは受章について「これまでやってきて苦しんできたことについて『それでよかったんじゃない、これからもっと苦しめ』ということだと思うので、うれしいというよりも心を引き締めてもっと苦しもうと思います」と話していました。その上で、今後の活動について「詩が好きだから、詩に出会ったからそれしかやることがないから、最良のものを求めていきたい。体も精神も老化してボロボロになっていくけれどもっともっと過激になっていきたい」と話していました。
文化功労者に選ばれた俳優の草笛光子さんは、横浜市出身の91歳。松竹歌劇団出身の草笛さんは、豊かな歌唱力で「ラ・マンチャの男」や「シカゴ」などに出演して日本のミュージカルを草創期から支えたほか、映画やテレビドラマでも幅広い役柄を演じ、70年以上にわたり第一線で活躍しています。近年では、NHKの大河ドラマ「真田丸」で、真田家のゴッドマザー「とり」をコミカルに演じたほか、「鎌倉殿の13人」では源頼朝の乳母役で存在感を見せました。また、ことしは、90歳で主演した映画「九十歳。何がめでたい」がヒットし、大きな話題となりました。草笛さんは「大変光栄に思います。後ろを向いたらまあまあ長い時間、舞台、ミュージカル、映画、テレビドラマなど幅広い分野でいろいろな作品を作ってまいりました。これまで私を育ててくださったたくさんの方々、作品を楽しんでくださる皆様に感謝しかありません」とコメントしています。
文化功労者に選ばれたプロゴルファーの青木功さんは、千葉県出身の82歳。独特のフォームから繰り出す正確なショットに加え、勝負強いパッティングが持ち味で「世界の青木」として知られています。1964年にプロに転向し、国内ツアーで賞金王に5回輝きました。さらに海外でも、1980年の海外メジャー大会、「全米オープン」で2位、1983年には日本の男子として初めてアメリカツアーで優勝するなどトッププレーヤーとして活躍し、2004年には日本男子初のゴルフの世界殿堂入りを果たしました。その後もシニアツアーを中心に出場を続け、2017年には国内ツアーの大会にツアー史上最年長出場記録となる74歳7か月で出場しました。また、2016年からは日本ゴルフツアー機構の会長を4期8年にわたって務めました。青木功さんは「『プロゴルファー生活60周年』という節目の年に、文化功労者に選出頂き、大変うれしく思っております。ゴルフは私の天職であり、『ゴルフが上手くなりたい』それだけを考え国内のトーナメントを中心にプレーした後、海外ツアーにも挑戦しました。名誉ある文化功労者に選んで頂けたことは、長年、私を支えてくれた周りの方々のおかげだと心から感謝しております」などとコメントしています。
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