宮崎県で22日、線状降水帯が発生し、道路が冠水するなどの大きな被害が出ました。線状降水帯の情報が10月に発表されるというのは気象庁の運用開始以来初めてです。そして、厳しい残暑などの影響で関東ではアジサイや桜が咲くという季節外れの異変が起こっています。
■茶色く濁った水が一面に バス車内にも浸水
22日午後10時すぎ、宮崎県延岡市で、前を走る車が大きな水しぶきを上げる様子が撮影されました。あたり一面が冠水し、道路は川のようになっていました。 延岡市付近では、午後10時までの1時間におよそ120ミリの猛烈な雨が降ったとみられ、記録的短時間大雨情報が2回発表されました。 冠水は宮崎県日南市でも発生しました。あたり一面が茶色く濁った水で覆われ、バスの車内にも水が浸入しました。 撮影者「くるぶしぐらいまで来たんですよ、水が。他の車より入ってくる所も高いじゃないですか(バスの)乗降口が。だから入ってくるとは思わなかったので、ちょっと怖かったです」
日南市付近では、午後4時半までの1時間におよそ120ミリの猛烈な雨が降ったとみられます。
気象庁は22日、宮崎県で記録的短時間大雨情報を3回発表しました。消防によると、日南市では70代男性が乗った車が川に流され、安否が分からなくなっているということです。他にも、鹿児島県や長崎県など、九州で非常に激しい雨をもたらしたのは、今年の異例の残暑が影響しているといいます。
この時期としては非常に強い暖かく湿った空気が流れ込み、秋の記録的な気温の高さや海面水温の高さによって、雨雲が夏のように急激に発達しやすくなったのです。そして、宮崎県南部の平野部で季節外れの線状降水帯が発生しました。10月に線状降水帯が発生するのは、気象庁が情報を発表するようになった2021年の運用開始以来、初めての事態です。
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■バラ園でも異変 来園者が激減した理由■バラ園でも異変 来園者が激減した理由
季節外れの異変は、他にもあります。神奈川県鎌倉市の覚園寺では、通常は梅雨時に美しい花を咲かせるアジサイが半年以上も早く開花していました。 覚園寺住職「季節を間違えて咲いているアジサイですね。これは初めて見ました」
樹木医の和田博幸氏は「残暑の影響で、アジサイがシーズンが来たと勘違いし、一部のつぼみが急成長して開花したのでは」と推測しています。
10月下旬に、アジサイとセミの声という、まさかのコラボレーション。異変は東京でも起きています。毎年春になると咲き誇る上野公園の桜が、秋に開花するという異変が…。 季節外れの桜は、上野公園だけではありません。SNSには、全国各地で目撃された桜の開花が投稿されていました。 和田氏「ソメイヨシノなどの桜は、夏の間に翌年に咲かせるつぼみを作ります。そのつぼみが咲き出さないように、葉で生産している植物ホルモンが芽に送り込まれて、咲き出すのを止めています」
しかし今年は、夏の猛暑の影響で葉が傷み、早く落ちてしまったといいます。
和田氏「咲きだすのを止めていた植物ホルモンが(葉から)送り込まれなくなって、花が咲くことがあります」 世界各国のバラ約800種類が咲き誇る千葉県習志野市の谷津バラ園では、今が見頃の秋のバラが今年は開花が20日ほど遅れ、全体の10%しか咲いていません。 谷津バラ園 澁井知子副所長
「例年ですと10月は(来園者が)6000人から8000人ほど入って頂いているんですが、今年は1000人弱で、だいぶ少なくなってしまっていますね」
開花が遅れているため、来園者も例年の8分の1に激減しています。一体、なぜバラの開花が遅れたのでしょうか。
澁井副所長「例年にない酷暑のせいで、お花が咲くための栄養が行かないということになってしまいましたね」
猛暑の影響でバラが夏バテ状態になったため、栄養をうまく吸収することができず、開花が遅れたといいます。しかし、開花が遅れることでメリットもあります。
澁井副所長「秋は寒暖差がありますので、花の色の濃淡がはっきり出ます。なので、これからの秋バラはとってもきれいに咲くと思います」
谷津バラ園では、11月上旬に見頃を迎えるということです。
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■人が映り込まない珠玉の一枚■人が映り込まない珠玉の一枚
さらに異変は、毎年20万人が訪れる人気スポットである福岡県朝倉市のキリン花園でも起きています。 キリンビール福岡工場広報 青木こずえさん「今年は、お花が少ないということで(来園者は)大体、平年の3分の1ほどのご来場となっております」
毎年10月中旬には、1000万本のコスモスがピンクの絨毯のように広がる畑も、今年は猛暑の影響で開花は例年の5割程度にとどまっています。
この週末からようやく見頃を迎えるといいますが、青木さんは「寒くなるとお花が枯れてきたり、色が落ちてきたりするので、一番きれいな時期が本当に短くなると思います」と話しています。
開花が遅れ観光客が激減した場所がある一方で、多くの人が押し寄せた場所もあります。丘一面に真っ赤に広がる絶景。年間180万人ほどが訪れる茨城県・ひたち海浜公園では、およそ4万本のコキアが咲き誇り、赤のグラデーションに紅葉。一面に広がる大パノラマが訪れる人を魅了します。
見頃を迎えてから初めての週末、この絶景を見ようとコキアへと続く道は、地面が見えないほど多くの人でごった返していました。
ひと際人が集まっていたのは丘の頂上。青い海と赤く染まったコキアの色鮮やかな絶景が顔をのぞかせます。コキアは猛暑の影響をあまり受けていないものの、影響を受けていたのは…。
強い風が吹くなか、半袖を着ている人の姿が見られました。一方、半袖とは対照的にダウンジャケットやコートを着ている人もいて、皆さんの服装がバラバラです。
埼玉県から「きのうと比べて、だいぶ冷え込んでいて体にこたえますね」 茨城県つくば市から
「きのうは暑かったんですよ」
「足寒い」 急激な寒暖差で服装を間違えたという人が続出するなか、このにぎわいは開園前から起きていました。午前8時前には、すでに駐車場のオープンを待つ長い車列ができていて、少なくとも1キロ以上に伸び、車の数はおよそ300台に達していました。 先頭車 千葉県船橋市から
「(前日)夜の10時ぐらいに着いて、1番狙おうと思って」
「(前日夜に)来る時はかなり暖かくて半袖で」
「(Q.きのう半袖で?)ええ、きょうはいきなり寒いですね」
消防本部によると、ひたちなか市の20日午前8時の気温は15.1℃。開門ゲート前には続々と人が増え、入場を今か今かと待ちわびる人たちが見られました。最前列に並ぶ男性は、周りが厚着をしているなか、半袖でした。
そして、人が映り込まない珠玉の一枚を求めて、およそ1キロ先に咲くコキアを目指し、一目散にコキアダッシュ。 東京から「めっちゃ走って、もう一番乗りぐらい」
「(Q.一番でした?)はい」 人が映り込んでいない、まさに珠玉の一枚。 東京から
「無人でちゃんと撮れました。着いたのが(午前)3時ぐらいで、寒いですね。ちょっと(服装が)薄すぎた」
コキアが見頃を迎えてから初めての週末。美しい絶景を堪能できるのは26日ごろまでだということです。
(「羽鳥慎一 モーニングショー」2024年10月23日放送分より)
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