58年前に一家4人が殺害された事件で、無罪が確定した袴田巌さん(88)のもとに、静岡県警の津田隆好本部長(57)が訪れ、直接、謝罪しました。
静岡県警・津田隆好本部長「静岡県警察本部長の津田でございます。本日は、このような場を設けていただき、ありがとうございます。袴田巌さんの無罪が確定したことについて、警察本部長として、気持ちをお伝えにまいりました。袴田巌さん、ひで子さんにおかれましては、逮捕から無罪確定までの58年間の長きにわたり、言葉では言い尽くせないほどのご心労、ご負担をお掛けし、申し訳ありませんでした。今後、静岡県警察としましては、より一層、緻密かつ適正な捜査に努めてまいります。申し訳ありませんでした」 袴田巌さん
「権力が積極的に町の平和を保障することが大事だと思っています」
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■連日10時間を超えた取り調べ「お前は4人も殺したんだぞ」 袴田巌さん
「なんで殺さなきゃならないんだよ。本当に俺の一生をめちゃくちゃにしたのはあんたらだよ。一生忘れんぞ。よくもやりやがったな俺を、なんとか真面目にやろうと思っていたのに。あんた方こそ、人殺しだよ」 静岡県警
「いま、これは一つリングの上だよ。俺はお前と勝負しているじゃないか。お前が男だったら、はっきり話しなさいよ」 袴田巌さん
「はっきり言っているよ」
当時の捜査記録などによりますと、取り調べで「ボクサーくずれ」と蔑まれ、便器を持ち込んでまで続けられていました。
元静岡県警の捜査員(2017年放送)「こいつで間違いないから落とせよという至上命令みたいなものが出る、大きい事件だと。極悪人を捕まえてね、なんだ落とせなかったのか、静岡県警の恥だと。そういうプライドがあるわけですよ」
無実を主張し続けた袴田さんですが、後に捏造と認定された“5点の衣類”を証拠とし、死刑が確定。その後、何度も再審の訴えを棄却され続けました。
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■無罪確定までの58年県警本部長の謝罪を受けて、姉のひで子さんは、こう話しました。
袴田さんの姉・ひで子さん「58年の前の出来事ですので、私たちはもう運命だと思っています。巌も私も、そう思っておりまして。今さら警察に苦情を言うつもりはありません」
県警本部長の謝罪後、こう述べました。
袴田さんの姉・ひで子さん「巌がいつまでも死刑囚でいるということではなくて、死刑囚でなくなったことを忘れるための踏ん切り。その踏ん切りをつけていただきたいと思って、きょうはお迎えしたんです。これで、だんだんと俺は死刑囚じゃないと思うようになっていくと思う」 この記事の写真を見る
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