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【映像】盗撮で2度逮捕された山田さん(仮名)、その妻
「私は学校内ではやっていなかった。通学時に電車を使うので、その行き帰りに犯行に及んでいたことが多かった」
こう話すのは、過去に盗撮し逮捕された経験を持つ山田さん(仮名・30代)。『ABEMA Prime』の取材に、立ち直りを支えてくれている妻のこあらさん(30代)とともに答えてくれた。山田さんが初めて盗撮行為に及んだのは大学生の時。
「警察に一度バレて、おさえられたことはあった。初犯だったことと未成年だったので、厳重注意と、(画像を)すべて削除して『もう二度とやらない』と言った上で解放された」
しかし、その後成人し、結婚した後も、駅やトイレで盗撮を繰り返して2度逮捕された。妻の勧めもあり、現在は加害当事者が集まる自助グループに参加。スマホのカメラは妻の提案で使用できない設定になっている。「たまたま性依存について書かれている漫画を読んで知っていて、治るのではないか、治療できるのではないかと考えた」(こあらさん)。
性犯罪の被害者、そして加害者を増やさないために、何が必要なのか。2人と専門家とともに考えた。
■山田さん「“自分でもできるんじゃないか”という軽い気持ちから」
盗撮を始めたきっかけについて、山田さんは「ちょうどスマホが普及し始めたぐらいのタイミングだった。簡単にできてしまう状況と、ネットで動画を見て“自分でもできるんじゃないか”という軽い気持ちから。サイトにあるものは基本的に誰でも見られるので、自分だけが知っているというところに快感を覚え、のめり込んでしまった」と語る。
バレずに撮れた時の“成功体験”が鮮明にこびりついているという。「盗撮の再犯者は同じようなことを言うが、性的欲求を満たすというよりは、そういった成功体験をまた得たいという気持ちで繰り返してしまうパターンが多かった。少なくとも自分はそうだった」。2度目の逮捕は自助グループに参加した後、商業施設のトイレでの盗撮だった。「一度逮捕された時は、“妻と一緒にいられればいい”“それさえあればいい”と思っていたが、それを上回る欲求というか。なぜやってしまったのか正直ちょっとわからない」と明かす。
「自分はこれから絶対にやらないとは言えない」というのが、山田さんの認識だ。「一日一日やらない努力を、死ぬまで続けるしかない。幸いにも自助グループと繋がることができ、“自分だけじゃない”という環境にいるが、まだまだ認知されていない部分もあると思う」と述べた。
■妻「夫を一面だけで見たくない」「同じ立場の人に“一人じゃないんだよ”と」
こあらさんは、夫の山田さんが逮捕されて初めて盗撮の件を知ったという。「信じられないという気持ちで、頭が真っ白になったという言葉が一番しっくりくる」と話す。
夫と向き合うには1年半ほどかかったそうだ。「正直今でも明確な答えは出ていない。ただ、夫を一面だけで見たくない。悪い面も良い面も知っているので、全部含めて確認していきたいと思って、一緒に暮らしている」と明かした。妻に対して山田さんは「最初に捕まった時は離婚するか否かという話になった。自分本位で、“とにかく離婚したくない”“見捨てられたくない”という気持ちで向き合っていたと思う。ただ、妻がいろいろと努力してくれた。今は違った気持ちで、まずは自分を律して向き合わなければいけないと思っている」との考えを述べる。
今回の出演について、こあらさんは「加害者の家族も加害者みたいな、共同責任の考え方が日本にはあると思う。すごく怖いが、私と同じ立場の人は絶対にいるし、“一人じゃないんだよ”ということが伝わればいいなと思った」とコメント。
山田さんは「自分と同じように苦しんだり、そもそも依存症者と気づいていない人がほとんどだと思う。一度でもやってしまって、まだ捕まっていない方、それは依存症の入り口だということに気づいてほしい」と訴えた。
■高い再犯率 専門家「盗撮の暴力性があまり重要視されていない」
著書に『盗撮をやめられない男たち』などがある、加害者臨床が専門の西川口榎本クリニック副院長・斉藤章佳氏が加害者521人に行った調査によると、盗撮開始年齢は10代が27%、20代が43%、30代が27%で、平均年齢は21.8歳。動機は盗撮軽視(興味本位)、性的関心、ストレス発散と続く。
加害者の心境について斉藤氏は「ビギナーズラックのような経験は、ギャンブルと同じでずっと脳に残る。我々が“自己使用”と言う自慰行為のための盗撮が、気づくと盗撮のための盗撮になっていくケースが多い。盗撮する前の緊張感と達成した後の緩和、それが普段抱えている緊張感や生きづらさを一時的に緩和してくれるというところでハマっていく」と説明。盗撮の5年以内の再犯率は36.4%(平成27年版「犯罪白書」より)。「5年10年やっていなくても、衝動制御障害のような状態になっている場合もある。ある特定の条件や状況が揃ってしまうと衝動が制御できなくなり、再発するケースはある」という。
対処・治療法は「ある」そうで、「ストレス対処行動の選択肢の狭さが盗撮という手軽な行動にのめり込む一つの動機になるので、選択肢を増やしていくのが基本的なプログラムになる。生活の中でハイリスクな状況や引き金を回避することと、“今日一日やめ続ける”というのを繰り返すこと。あとは家族のサポートがある人のほうが治療定着率は高い」とした。
斉藤氏は、日本社会では盗撮の暴力性があまり重要視されていないと指摘する。「アダルトコンテンツやたくさんのサイトがあるのを見て、加害する潜在的な層が“自分もできるかもしれない”と1回目の盗撮に及ぶケースをたくさん見てきた。今は包括的な性教育が大事だと言われているが、小さい年代から撮影行為のルール決めをする。家庭でもできることだが、そういう教育は必要だと思う」と投げかけた。(『ABEMA Prime』より)
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