和式トイレは、今も必要なのか。洋式トイレのある家庭の割合は、2008年時点で89.6%となり、普及率約9割達成を機に、調査終了された。TOTOの出荷実績では、和式トイレの出荷率は現在0.16%で、そのほとんどが公共施設向けとなっている。
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洋式便器は1959年に、日本住宅公団が採用したことが、普及のきっかけになった。1960年代の高度経済成長期には、まだ和式の便器が主流だったが、1977年に和式便器と洋式便器のTOTO出荷数が逆転。そして2008年に約9割となった。
洋式への置き換えが進むなか、和式トイレの存在意義は。『ABEMA Prime』では、トイレの専門家をまじえて、和式が必要か否かを議論した。
■和式トイレはつらくて汚い?残すメリットは?
和式トイレのデメリットとしては、「悪臭がしやすい」「水が流れる際に飛び散り不衛生」「排泄物がはみ出す・広がりやすい」「姿勢がつらい」などがある。トイレ研究家で世界トイレ協会理事の白倉正子氏は、洋式が主流になった理由について、膝・股関節・脚力など身体への負担が少ないことと、住居内のトイレ設置が一般的となり「大」「小」兼用の洋式が省スペースとなったことを挙げる。高度経済成長期に住宅公団で採用されたことも追い風になったという。
反対にメリットとして、「滞在時間が短い(特に女子トイレに行列ができない)」「足腰が鍛えられる」「肌に便器が触れない安心感」「日本人は欧米人より腸の出口が鋭角で、和式は日本人にとって便が出やすいベストな体勢」といったものもある。
■わずかに残る和式トイレ 専門家「教育用に残すべき。足が使えず転ぶ子どもが出てくる」
和式トイレは、全面的に洋式トイレへ置き換えるべきなのか。白倉氏は、「教育用に残すべきだ」と主張する。「地震が起きると、トイレが使えなくなる可能性がある。外でも用を足せる脚力を持つ必要がある」との理由からだ。現役保育士で育児アドバイザーのてぃ先生は、「小中学校には設けている自治体が多いと言うが、幼稚園や保育園で和式トイレを設置しているところは、ほぼないと思う」と、現場の状況を語る。「古くからの園では、和式が置かれている場合もあるだろうが、使用方法を教えることはない」。
白倉氏は、現状は「和式を経験している人たちの議論」になっていると指摘する。「和式は不要だと言い聞かせると、後ろに転んだり、立ったままおもらししたりする子が出てしまうのではないかと危惧している」。そうした懸念から、「和式トイレ教育は、絶対に入れた方がいい」と力説する。
以前、ある小学校の教師から、和式トイレ教育を頼まれたことがあったそうだ。「キャンプへ行ったら、子どもたちが金隠しに乗ったり、床にべたっと座ったり、使い方がわからなかった。私が説明すると、その日は和式に行列ができた」とのエピソードから、「機会の有無は大きい。教育を取り入れないと、子どもたちが不幸になる」と話す。
■ひろゆき氏「海外には和式的なトイレが多い。洋式でなんとかなるは誤解」
ネット掲示板「2ちゃんねる」創設者のひろゆき氏は、「海外には和式的なトイレが多い。きれい・汚いではなく、下手すると命に関わるため、教育としては必要だ」と語る。「発展途上国は、ほぼ和式的だ。アメリカでも洋式が汚すぎて、和式のように便座を足で踏むことがある。洋式でなんとかなるというのは誤解だ」。 加えて、「“和式“の呼び方のせいで、日本にしかない数少ないやり方だと思われている」とも指摘する。「世界中を見たら、穴に排せつする方が多い。日本も洋式になってきたといって、海外では和式が普通。『和式の方が世界式だから覚えなきゃ』と教育しやすい」と提案した。
(『ABEMA Prime』より)
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