先月26日、やり直しの裁判で無罪判決となった袴田巌さん(88)の裁判をめぐって、検察当局が控訴を断念することを決めました。検事総長は異例の談話を出して謝罪したものの、無罪判決そのものについては「到底承服できない」とも述べていて、弁護団からは怒りの声も上がっています。
■姉・ひで子さん「やっと一区切り」
姉のひで子さん(91)は自宅で一報を受けました。
袴田巌さんの姉 ひで子さん
「これでやっと一区切りつくと思ってうれしいです。(Q.その瞬間の気持ちは)気持ちっていっても分かっていたようなもんだから、別段感激もしませんでした」
満面の笑みで答え、会見へと向かいました。
袴田巌さんの姉 ひで子さん
「午後5時ごろでしたかね『(結果が)今出た』という電話がありまして、急いで駆け付けて参りました。連絡を受けた時というのは、うれしいよりとかなんとかよりも“なんだそうか”と思って飛んで来た。これで一件落着で、誰にも何も言われないということ。巌が死刑囚でなくなることはとてもうれしゅうございます。今になって思えば58年は長かった。ただ“長かった”と思うことはありますが『あれが苦労これが苦労』なんて考えたことはございません」
再審で無罪判決を勝ち取ってから12日。巌さんにはまだ伝えていないということです。
袴田巌さんの姉 ひで子さん
「『すでに無罪になったよ』と言ってありますので、改めて言うことはないと思っています。巌の状況をみて話をしたいと思っています。(Q.巌さんは無罪が確定したことにどれくらい把握をしているか)多分分かっていると思う。それでもまだ半信半疑でいると思う。今までの妄想の世界にいるので半分くらいは信用して、半分くらいは本当かなウソかなと思っているんじゃないかと。もう88歳ですから、あまり多くを望みませんが、巌にはせめてもう少し長生きをしてもらいたい。もう10年くらいは生かしていただきたい。ごくごく平凡に静かに暮らしていければと思っています」
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■検事総長 謝罪も「強い不満」58年前、静岡県清水市(現・静岡市清水区)でみそ製造会社の専務一家4人が殺害された事件で、死刑判決を受けた袴田さん。控訴はしないとした検事総長の談話。
畝本直美検事総長
「袴田さんが結果として相当な長期間にわたり、法的地位が不安定な状況に置かれてきたことにも思いを致し、熟慮を重ねた結果、本判決につき検察が控訴し、その状況が継続することは相当ではないとの判断に至りました」
ただ、証拠をねつ造と断じた静岡地裁の判決に対しては不満をあらわにしました。
畝本直美検事総長
「十分な検討を加えないまま、醸造について専門性のない科学者の一見解に依拠し『5点の衣類を1号タンク内で1年以上みそ漬けした場合には、その血痕は赤みを失って黒褐色化するものと認められる』と断定したことについては大きな疑念を抱かざるを得ません。本判決が『5点の衣類』を捜査機関のねつ造と断じたことには強い不満を抱かざるを得ません」
この点について弁護団は…。
弁護団 小川秀世主任弁護士
「非常に納得がいかないというか、むしろ端的に言ってけしからん内容だったと思っています。談話の中でも『検察のねつ造』と言われたことに対して、なぜそう言われたのか、どういうことで言われたのかを全然調査をするような姿勢も示さないで、これでまた検察が同じ検察を続けるなんてのは、まったくけしからんことだと強く思っています」
最高検察庁は、再審請求手続きが長期間に及んだことなどについて所要の検証を行いたいとしています。
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