群馬県内で老人ホームを運営する会社の社長が、職員に給料を払わないまま姿を消した。
入居者を残したまま職員は大量退職し、施設は人手不足で悲惨な状況になっていた。
3日午後、番組は、逃げたという社長の居場所を突き止め、直撃取材を行った。

90人以上の入居者残し職員が大量退職…

問題の施設は、東京・足立区にある住宅型有料老人ホームだ。

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90人以上の入居者を残し、30人近くのスタッフが大量退職したと「イット!」に情報が寄せられたのだ。

元職員:
9月30日に給料が支払われてなくて、職員がどんどん辞めてしまっている状況で。

廊下に白湯と薬が並べられた机が放置されていた

午後9時半ごろに撮影された施設内の映像を見ると、廊下に白湯と薬が並べられた机が放置されていたほか、さまざまなものが散乱している様子が確認できる。

また、職員の控室に人の姿はなかった。

元職員:
夜勤帯も本当(入居者)50人くらいを1人で見る状況が続いている。入浴ができなかったりとか…。

入居者の親族からも、「(社長が)逃げているってうわさも聞くし、入居者に対してちゃんと謝罪があるべき」といった不安の声が上がっていた。

突如姿を消した社長

姿を消した運営会社の社長。

身勝手にも、「施設を閉鎖する」という貼り紙1枚だけが残されていたという。

この施設をめぐっては、関係業者が「運営会社と連絡がつかないが、入居者はどうなるのか」などと足立区に情報提供があった。

これを受け、3日に続き4日も、都や区の職員が現地調査を行っていた。

元職員に一番の願いは何か聞くと、「やっぱり社長に出てきてもらって、どういう状況なのか説明をしっかりしてほしい」と答えた。

「法務対応で」繰り返す

そして取材班は、社長が現在、群馬県内にいることを突き止め、関係先から出てきた社長本人を直撃したのだ。

――フジテレビです。今お話よろしいですか?

社長:
ちょっとごめんなさい。今、法務対応しているので何も話せないです。

――まだ、90人の入居者とスタッフがいるが?
社長:

そこに関しても、現在法務対応で行っていますので、弁護士の方から正式な書類は発表しようと思っています。

――給料が支払われていないらしいが?
社長:

一応、ここに対しても現在、弁護士の方で法務対応をしています。

――支払いするつもりは?
社長:

意思はあります。

――(元職員が)社長と連絡がずっとつながらないみたいだが?
社長:

そこについても、1つずつ法務対応しているので、ちょっと時間がかかっている状況。

――口頭で説明する予定は?
社長:

一応そこについても。全部基本的には法務対応でやっていこうと思ってますので。

――ご自身の気持ちは?
社長:

基本的にはもう、そうですね、法務対応をベースとしてやっていきますので。

――「申し訳ない」や「心配だ」とかは?
社長:

ここに関しても現状としては法務対応なので。弁護士の方と話をして法務対応でやっていこうと思っている。

取材班の質問に対し、社長は「法務対応する」との答えを繰り返すばかりだった。

社長に説明を求めていた情報提供者のAさん。
社長の回答は、到底納得できるものではなかった。

元職員:
「法務対応」って言葉が12回ぐらい出てきて、いったい何なのって感じですけど、逃げてるとしか考えられないですよね、「法務対応」って言葉で。

「社長と連絡つかず」別の施設でも混乱が…

問題は、別の老人ホームでも起きていた。

同じ社長が運営する群馬県内の高齢者施設。
ここ3カ月の間に、約30人いた職員のうち5人が退職したという。

同じ社長が運営する施設の事務員は、退職の理由について、「社長と連絡つかず、この先、お金がもらえるか分からないので、不安が」と話した。

施設内では、天井に大きく穴が開き、雨漏りした部屋が放置されていた。
人手不足は深刻なようだ。

同じ社長が運営する施設の看護師:
(人手不足で)入居者さんが毎日すごくかわいそう。職員がどんどん減っているので、そうすると入居者さんだけが残る。それで職員がいなくなる。それだけはどうにかしたいです。

今後について、足立区は把握している入居者たちを、どうにか生活できるように支援したいとしている。
(「イット!」10月4日放送より)

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