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 中国では建国75年の国慶節の大型連休が始まり、のべ19億人が大移動します。今年の旅行先の一番人気は日本だということですが、羽田空港の検疫所には禁止されている食品などを持ち込もうとする観光客が後を絶たないということです

■7日間で19億人以上が移動 近場の日本が大人気

 夜空に浮かぶ無数の光は、すべてドローンです。

 1日から中国で始まった国慶節の大型連休は、夜空を彩るドローンショーで幕を開けました。

 およそ1万機のドローンで行われる壮大なパフォーマンス、人や鳥の形、宇宙船など様々な形に姿を変え、最後には建国75周年を祝う文字を描き観客を魅了しました。

 そして、上海では床が埋め尽くされるほどの人、人、人。前に進むのにも一苦労で、駅にあるベンチも人で埋め尽くされています。

 中国国内では7日間で延べ19億人以上が地域をまたいで移動すると言われています。 駅の利用者
「帰省するところです。家までおそらく3〜4時間はかかると思います」
「実家に帰って家族と過ごします。家に帰れるのはうれしい」

 景気減速が続く中国では、低予算での国内旅行や近場の海外旅行が人気となっています。

 中国の大手旅行サイトによると、海外旅行先で人気ナンバーワンなのが日本。去年よりも日本への直行便が5倍以上に増えた影響で、航空券が安くなっているのも人気の理由です。

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■「生じゃない」主張繰り返すも…

■「生じゃない」主張繰り返すも…

 羽田空港の第3ターミナルには、海外からの観光客が多く来ています。すぐ脇には検疫の検査カウンターがあり、ここで海外の観光客の荷物を検査をします。

 「持ち込み禁止品」がないか、日々検査をし、安全を守る最後のとりでとなっているのが動植物検疫所。

 周知活動をしていても「持ち込み禁止品」を持ってくる人が後を絶ちません。

 検査カウンターにやってきたのは、中国・上海から来た女性。荷物の中から出てきたのは…。

検査官
「これは塩卵…」 女性
「塩卵じゃない!」 検査官
「これ生ですね」 女性
「生じゃない!!」 検査官
「これ、ゆでたらこんな鮮やかな色してないの」 女性
「ちがう。これはあの、料理を作るやつ」 検査官
「うん。ダメなんです」 女性
「生じゃない」 検査官
「生なんです!」  出てきたのは、袋いっぱいに入った卵。加熱済みの卵は菌が死滅しているため持ち込みができますが、この卵の見た目は明らかに生です。

 本人は頑なに生ではないと主張しますが、中を割ってみました。

検査官
「こちらで確認するので…生ですね」
「あぁ、生ですね」 女性
「生じゃないよ!生じゃない!違う!違う!私すぐ食べるから!!」

 おもむろに袋を開けると、女性は突然、卵を食べ出し、加熱済みであることをアピールします。

検査官
「半熟(持ち込み不可)なので」 女性
「生じゃない」 検査官
「あのね、ゆでてあるとね、固まってますから」 女性
「これは、中国のアヒルの卵を漬けたら、ゆでてこうなります」 検査官
「私、見て判断しています。これは持って入れない」 「すぐ食べられるものだから。生じゃないよ〜!!」

 女性は、検査官の指摘に納得のいかない様子です。

女性
「日本は中国の食べ方が分からないから。ゆでた卵はこんな感じ。塩漬けはそんな感じ」 検査官
「パスポートありがとうございます。日本に持ち込ませないために、お肉製品などを日本国内に持ってきたらダメですよという法律があるので、次から絶対持ってこないでください」 女性
「ありがとう」

 最後はしぶしぶ納得し、出口へ向かっていきました。

 家畜の伝染病の侵入を防ぐため、肉類や加熱していない卵などは海外からの持ち込みが禁止されています。これらの禁止品が持ち込まれていないか検査しているのが「動物検疫」です。

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■「食べてもいい?」しかし、すぐさま検査官が…

■「食べてもいい?」しかし、すぐさま検査官が…

 検疫の最前線で活躍しているのが、動植物検疫探知犬です。  海外から来た観光客の荷物に肉製品や野菜などが入っていないか次々と嗅ぎ分けていきます。  荷物を運び出す女性のもとへ近づくと、お座りをします。このお座りは、持ち込み禁止品がある可能性があるという合図です。 職員
「ちょっと検査するものがありますので、お待ちください」  中国・上海から来た女性、持ち込んでいたのは果物のザクロ。すると…。 女性
「今、食べてきていいですか?」

 その場で食べていいか確認する女性。しかし、すぐさま検査官が…。

検査官
「こちらのザクロについては生の果物の一部になりますので、日本にお持ち込みいただけない」

 検査官の説明を素直に聞き、そのまま帰るかと思いきや。

女性
「これは持ち込みもNGで、ここで食べるのもNGってことですよね?」 検査官
「そうです」 女性
「分かりました」

 納得していないのか、話を聞くと…。

女性
「残念ですよ!いや(ザクロ)食べたいですけど、もうNGだったら、NGで全然協力しますよ」

 探知犬は再び別のキャリーケースの前でお座り。こちらは中国・北京から来た女性です。

検査官
「肉とか野菜はないですか?」 女性
「ないない!」

 荷物の中には、禁止品はないと言い張る女性でしたが…。

検査官
「これは?」 女性
「これは落花生。落花生はあの、あれした。炒めした」  出てきたのは袋いっぱいに入った落花生。加熱されている場合は持ち込むことができますが、目視で確認できない場合は証明書が必要です。検査官が証明書があるか確認しますが…。 検査官
「確認するために来てもらっていいですか?」 女性
「何?」 検査官
「これがOKか分からないので」 女性
「私、時間ないから!今は!」

 突如、時間がないといら立つ女性。

検査官
「でも、確認が必要になるので。すぐ終わるので、一緒に向こうに行ってもらって大丈夫ですか?」

 検査官も丁寧に促しますが、女性は荷物を片付け始めます。

女性
「もう(落花生は)要らないから!私時間ないの!外でみんな待ってるから!もういい!いらない!没収していい!」

 結局、落花生は没収。女性は見向きもせず検疫所を後にしました。

 海外から害虫が日本に侵入するのを防ぐため、「植物検疫」では生野菜や果物が持ち込まれていないか検査をしています。

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■ナッツにココナッツ、唐辛子…次から次へと食べ物が

■ナッツにココナッツ、唐辛子…次から次へと食べ物が

 続いて検査カウンターに現れたのは、バングラデシュから来た女性。

検査官
「中に、食べ物入っていますか?」 女性
「食べ物はないです」 検査官
「食べ物入っていない?」 女性
「入ってないです」

 検査官の問いかけに対し「中に食べ物は入っていない」と一点張りの女性ですが、キャリーケースを開けると…。

検査官
「これはなんですか?」 女性
「…グァバ」 検査官
「さっき『食べ物入ってない』って言いましたよね?」 女性
「グァバ…それはフルーツです」 検査官
「確認は必要なので、ちゃんと申告はお願いします」

 荷物の中から果物が出てきました。さらに…。

女性
「どれ?ドライナッツ?ココナツ?ドライナッツ?スイーツ?」

 次から次へと食べ物が出てきて、しどろもどろになる女性。荷物からは、他にもコメや唐辛子などが出てきました。

検査官
「こちらのお米と豆。これはね、証明書がないと持ち込みができない品目で。置いていくしかない。うん、これも一緒」 女性
「すみません」

 最後は持ち込もうとした食べ物を諦め、出口へ向かっていきました。

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■菓子箱に大量のたばこが隠され…

■菓子箱に大量のたばこが隠され…

 こちらのベトナムから来た女性。大きな発泡スチロールの箱のなかに入っていたのは、いくつもの冷凍食品です。

検査官
「これ、豚肉って入ってます?」 女性
「入ってます」 検査官
「書いていたら、これは持って入れない」  職員が検査で使っているのは「文字翻訳アプリ」。外国語にかざすと自動で日本語に翻訳されるアプリを使いながら検査を進めていきます。 検査官
「ここに豚肉って書いてあります。本人は魚のつみれって思って持ってきたけど、よく見たら豚肉が入ってたんで」

 荷物からは持ち込みが禁止されている「豚肉」が含まれている食品が次から次へと出てきます。なんと全部で9キロ。すべて没収の対象です。

 検査をしていると、隣のテーブルでは緊急事態が発生しました。

 検査カウンターの上に大量に積み上がっているのは、一見お菓子の箱に見えますが、なんとお菓子の箱やキャリーケースの中に大量のたばこが隠されていました。  海外からのたばこの持ち込みは1カートン(200本)までは免税の対象ですが、それを超えると税金がかかります。 検査官
「クッキー箱が16箱くらい、大体スーツケース1つに入っていたんですけど、合計30箱くらいですかね。『1つ開けていいか』って聞いて開けたら、そこの中にもちょっとたばこがあって。ゆうに100箱くらいはいくんじゃないかなと思って」

 この後、税関の職員が引き取ったということです。

農水省 動物検疫所 羽田空港支所
新堀均次長
「やっぱり国慶節になりますと、日本にいる家族の方とか親戚の方とかに母国の味を味わってもらいたいということで、(禁止品を)持ってくるケースというのは高くなってくるのかなというふうには思っています。違法な肉製品の持ち込みがないように、水際対策の徹底を図っていきます」

(「羽鳥慎一 モーニングショー」2024年10月3日放送分より)

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