地域の人から日本語を学ぶ外国人(左、熊本県菊陽町)

誰でも通える日本語教室のない「空白地域」が2023年11月時点で737市区町村あり、全自治体の38.9%に上ることが30日、文部科学省の調査で分かった。前年より5.2ポイント改善したものの空白地域に住む外国人はなお14万人いる。東京で前年の4倍超となるなど、外国人の増加に環境整備が追いついていない地域もある実態が浮かんだ。

都道府県別で空白率が最も高いのは沖縄で85.4%だった。青森(75%)、北海道(69.7%)が続いた。

空白地域に住むのは在留外国人(23年6月末に322万人)の4.4%にあたる14万1千人。前年より8千人減った。政府は空白地域の市区町村に教室開設のためのアドバイザーを派遣するなどしており、こうした取り組みが改善につながっているとみられる。

一方、都道府県ごとにみると悪化している地域もある。東京は2万1千人で前年の4.7倍。21都府県で前年より拡大した。

背景には新型コロナウイルスの影響が薄れたことによる来日の拡大がある。出入国在留管理庁によると、観光などを除く新規入国者は23年に62万人。前年より10%増え、コロナ前を上回った。文科省は空白地域の市区町村名を公表していないが、東京などで日本語学習の環境整備が流入に追いついていないとみられる。

教室があっても運営はボランティアが中心になっているところが多い。大学や日本語学校などを除く「一般の教育施設・団体」で、指導する2万8580人のうちボランティアが81%を占めた。三重(98%)、茨城(97%)などは特にボランティア依存度が高かった。

大学や日本語学校などを含めた日本語学習者数は26万3千人だった。前年比20%増となった半面、ピークだった19年の水準には戻っていない。留学生向けの日本語学校の学習者数はコロナ前を超えたが、大学などで学ぶ人が回復していない。

4月に日本語教育機関認定法が施行され、日本語教師の国家資格「登録日本語教員」が創設されるなど指導の質向上が課題になっている。日本語教師の養成機関は全国に726カ所で、受講者は3万1千人と前年より8%増えた。

調査は年1回実施。全国の自治体や大学など約8000機関に23年11月時点の状況を聞き、回収率は60.6%だった。

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