広島市西区で26日午前8時40分ごろ、道路が広範囲にわたって陥没しました。
上空から見ると、大きな交差点の中心部が、くぼんでいるのが確認できます。陥没は、南北40メートル、東西15メートルにわたりました。
広島市によりますと、少なくとも建物8棟で、傾きやひび割れが確認されていて、現場から半径50メートルの範囲が立ち入り禁止となっています。
近隣住民
「4階の人が取り残されて、レスキュー呼んだみたい。(Q.傾き感じた)感じなかったけど、玄関は開きづらい。1回、着替えて出たときには、(ドアが)閉まらない。多分、傾いている」
交差点から20メートルほどの場所にある住宅。建物は右に傾き、室内では床が浮き上がっています。
陥没現場の近くに住む菊田浩二さん(60)
「家の中にいたら“異音”が、あちこちからしたので。パキパキとかミシミシとか。1週間ぐらい前から、夜中、静かなときに地鳴りのような音がしていたんです。断続的に鳴ったり、ぴたっと止んだり。なんかおかしいなと思ってたんです」
なぜ、陥没は起きたのでしょうか。
今回の現場は、原爆ドームなどがある広島市の中心地から西に2キロほど離れた場所になります。当時、周辺の地中では、水害対策として、雨水を流す雨水管を3.5キロにわたって設置する工事が行われていました。
広島市会見
「“シールドマシン”と呼ばれる掘削機で、(刃のついた)円盤がありまして、それを回転させることで、前に進みながら土砂を掘削し、下水管を組み立てる工事です」
既存の上水管と下水管の下、深さ30メートルの場所をシールドマシンと呼ばれる掘削機で掘り進めていたところ、大量の水が流れ込んできたといいます。ほぼ同時に道路が陥没。破断した上水管から、道路に水が流れ出しました。
広島市会見
「どのような理由で大量の水が流れ込んだかはわかっていない。(Q.雨水管が通る高さには、地中にも水は含まれている)当然、地下水が十分含まれている地層になります。水が抜けたことで、上に陥没が生じたのか。もともと、空洞部分があって、そこに水が滞水していた可能性も
広島市は周辺の55世帯90人に避難を呼びかけていて、小学校には、26日午後7時時点で20世帯約40人が避難しています。
体育館には、広島市の担当者が説明に訪れました。
住民
「30メートルの地下を掘っていると、水道管はどこにあったんですか?」
広島担当者
「水道管は地表面から2メートルぐらいにあった」
住民
「地下水が流出したということなんですか?水道管が破裂したとかいう話も」
住民
「音がするんですよ。何の音だろうと思って」
住民
「1週間ぐらい前から、地鳴りじゃないけど」
住民
「広島市さんが住民さんのためにやってる工事だと言っても、俺たちの生活環境が変わるようなことをされるとやっぱり困るんですよね」
◆現場の地下では、どのような工事が行われていたのでしょうか。
広島市中心の市街地は、低地で、これまで浸水被害が発生。安全度を向上させるため、10年に1回程度降る強い雨への対応として、直径5メートルの新たな雨水専用の管などの工事を実施。トンネル工事にも使われる“シールド機”と呼ばれる機械で、地下30メートル、直径5メートルの穴の掘削を行っていました。
◆シールド機の工事と道路の陥没に関係はあるのでしょうか。
地盤工学が専門の芝浦工業大学・稲積真哉教授に聞きました。
稲積教授は「シールド機での掘削では、ごくまれに“土を掘りすぎてしまう”ことがある。土を掘りすぎると、そこにできた空間に土が落ちてきて、上部にある水道管に負荷がかかり、ジョイント部分などが折れるなど、破損する場合がある」といます。
今回、道路が陥没したのは、五差路の交差点です。
稲積教授は「五差路は、水道管も複数分岐していると考えられる。その分、ジョイント箇所が多くなり、強度が下がることも影響したのでは」と指摘。「水道管の破損で水が外に出て、その圧力が地面・道路を隆起させ、隆起の周辺では陥没も発生した可能性が高い」としています。
広島市は、道路復旧、そして建物は取り壊すのか・補修するのかなど、今後について「現時点では不明」としています。補償についても「事故原因の調査とともに、今後、検討する」としています。
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