水俣病特別措置法に基づく救済対象から外れた未認定患者らが損害賠償を求めた訴訟の控訴審第1回口頭弁論が25日、大阪高裁(東亜由美裁判長)で開かれた。国などは一審判決が採用した原告全員を認定した判断について「医学的・科学的な知見から誤った評価だ」などとして請求棄却を求めた。

水俣病認定を求めた訴訟の控訴審第1回口頭弁論を前に行進する原告ら(25日、大阪市北区)

一審・大阪地裁は原告128人全員の罹患(りかん)を認定し、国などに賠償を命じていた。各地の集団訴訟で司法判断が割れるなか、高裁審理が始まるのは初めて。

原告の意見陳述もあり、70代の女性は手足のしびれや感覚障害に苦しんでいるとして「普通の人にできることが私にはできない。一日も早い救済の道を開いてほしい」と訴えた。

特措法の未認定患者らによる集団訴訟では、23年9月の大阪地裁、24年3月の熊本地裁、同4月の新潟地裁で判決が出ているが、救済の線引きの司法判断は割れている。東京地裁でも係属しており、原告は計1700人を超える。

主な争点は一審に続き、原告らの症状が水俣病と認められるかどうかだ。

23年の一審・大阪地裁判決は、特措法が救済対象とする地域や年代を外れても、不知火海で取れた魚介類を継続的に多食した場合には発症する可能性があったと指摘。遅発性水俣病の存在も認めた上で、原告122人に対して国と熊本県、原因企業チッソの賠償責任を認定。残る6人についてはチッソのみの責任とした。

国側が控訴し、原告側も国と県の責任を認めなかった6人について控訴していた。この間に死亡や訴訟の取り下げがあり、控訴審での原告は126人。

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