福島第一原子力発電所で行われている処理水の海洋放出をめぐり、東京電力は「実際に環境中に放出された処理水」を使用したヒラメとアワビの試験飼育を10月上旬以降に開始する方針を示した。

2023年8月に処理水の海洋放出が開始される前には、「海水」や「放出基準未満まで海水で薄めた処理水」を使ったヒラメなどの飼育は実施していたが、今回は「海水で薄められて実際に放出された処理水」を使って、海生生物の中のトリチウム濃度が海水と変わらないことを示したい考え。

なお、これまでの試験飼育の結果について東京電力は「ヒラメの体内のトリチウム濃度が、育成している水のトリチウム濃度以上にはならず、通常の海水へ戻すと濃度は速やかに下がることが分かった」として、「ヒラメの体内でトリチウムは蓄積・濃縮されないと考える」と結論付けている。

今回は薄められて海洋に出る直前の水槽で「実際に放出された処理水」を採取。
これでヒラメやアワビを飼育することで、改めて海生生物の体内でのトリチウム濃縮がないことを示したいとしていて、試験飼育の状況や進捗はホームページ等で公開される計画。

処理水の海洋放出をめぐっては、中国による日本産水産物の禁輸措置などを受け、これまでに300億円を超える賠償が事業者に支払われているなか、中国は輸入を段階的に回復させる方針を示している。

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