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 「悲喜こもごも」、「間髪を入れず」。これらの日本語の本来の意味をご存じですか。

■悲喜こもごもの本来の意味は?

 17日、文化庁が「国語に関する世論調査」を公表しました。

 まずは「悲喜こもごも」という言葉から見ていきます。

 最新の調査でも認識が真っ二つに分かれていて、多くの人の心理状況を示す「悲しむ人・喜ぶ人が様々にいること」が49.7%、1人の胸の内を表す「悲しみと喜びを次々に味わうこと」が43.4%でした。

 悲喜こもごもの本来の意味は、「悲しみと喜びを次々に味わうこと」です。そのため、試合が終わった会場で、「勝ったチームと負けたチームのサポーターが悲喜こもごもの表情」と使うのは、本来の意味とは違います。

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■言葉の区切り方と読み方

■言葉の区切り方と読み方

 さらに「言葉の区切り方と読み方」にも本来と異なる認識が広がっていることも調査で分かりました。

 例えば、慣用句の「間髪を入れず」は、間と髪で区切って「かん、はつをいれず」と読むのが本来の読み方です。ただ最新の調査結果では、間髪を「かんぱつ」と読む人が91%、「かん、はつ」と読む人が6.5%でした。

 言葉の意味は、「間に髪の毛を入れる隙間もない」ことから「少しの時間も置かない」という様子をさします。それを考えると「間」に「髪の毛」が入らないということで「間」と「髪」を区切って読む方が本来の読み方になります。

 こうした調査結果について日本語学を研究している岸江信介・奈良大学総合研究所特別研究員は、「言葉はコミュニケーション。結局は通じないと使われなくなる。だからこの結果は本来と異なる意味や読み方が後世に残っていく可能性を示すものでもある」と話しました。

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■擬態語に新しい意味「漫画・SNSの影響大」

■擬態語に新しい意味「漫画・SNSの影響大」

 一方で、新たな表現に関する調査も実施されています。

 例えば「ゆっくり、のんびりする」という意味で「まったり」と言うのは気になるか?と聞いたところ、85.7%が気にならないと答えています。

 他にも8割以上が気にならないと答えた表現が「ふんわり、柔らかそう」という意味で使う擬態語「もふもふ」でした。

 続いては、7割以上が気にならないと答えた「曖昧(あいまい)ではっきりしない」という意味で使う擬態語「ふわっと」。もともとは羽毛が舞い上がったり柔らかい様子だったりをさす言葉でしたが、曖昧という意味でも伝わるようになっています。

 こうした新しい表現について岸江氏は、「特に擬態語に新しい意味が加わるのは漫画やSNSの影響が大きい」と話していました。

 数百年前はコミュニケーションツールが会話や手紙などしかありませんでしたが、最近はコミュニケーションツールや人との関わり方が多様化しているので、新しい言葉が生まれるスピードも速くなっているといいます。

 一方で、間違えた認識が広がるスピードも速くなっているのではということでした。

(スーパーJチャンネル「なるほど!ハテナ」2024年9月18日放送)

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