日野市「7月の点検では異常見られず」
事故が起きた「多摩平第2緑地」を管理する日野市の担当課によりますと、1960年ごろから周辺に団地が形成され、少なくともその時期からイチョウ並木もあったとみられています。
2000年ごろから再開発が進められましたが「並木を残してほしい」という市民の要望が強かったことから、景観を保全する形で、市が管理を続けてきたということです。
委託を受けた造園業者が、定期的に緑地の草刈りや枝の剪定を行っていて、市は、最近では去年11月に並木の剪定が行われたとしています。
また、並木には大木が多く、下部の枝に日光が当たらずに枯れやすい傾向があったことから、ことし7月に市の職員が目視で点検を行い、倒木のおそれや枯れた枝が無いかを確認しましたが、市は「その際に異常はみられなかった」と説明しています。
一方、「枝が伸び過ぎている」という市民からの苦情や相談が寄せられていたことから、イチョウの葉が落ちる秋以降をメドに、枝を選定する時期について調整していたということです。
今回の事故を受け、日野市は市内の緑地に職員を出して、緊急点検を行なっているということです。
日野市の大坪冬彦市長は「市が管理する敷地内の事故であり、ご本人とご家族に対し、深くおわび申し上げます。再発防止に向けて、全力で取り組んでまいります」とコメントしています。
住民「行政しっかり管理してほしい」
イチョウの木がある緑地の近くの公園で清掃をしていた男性は「風も吹いていなかったのに、びっくりしました。近くに駅や病院があり、お年寄りや子どもも歩いています。心配で歩けなくなってしまうので、行政がしっかりと管理してほしい」と話していました。
近くに住む60代の女性は、「亡くなった男性が気の毒です。もう何秒か違ったらこんなことにはならなかったはずで、本当に痛ましい。自分が子どもの時からある木なので、樹齢は50年を超えていると思いますが、皮が剥がれそうになっている様子もあり、気になっていました」と話していました。
樹木医「イチョウの実の重みが原因か」
13日午前、現地調査に訪れていた日本樹木医会の小林明理事は、イチョウの木は、毎年9月中旬のこの時期に実が大きくなり、枝が最も重くなるとした上で「枝が折れたのは、実がなるメスの木で、実の重さで枝が落ちた可能性がある。イチョウは木の上部ほど多くの実が成りやすく、まず1番上の枝が重みで折れて下の枝にぶつかり、下の枝が次々折れていったのではないか」と話しました。
その上で「戦後の時期に植えられた木が大きくなり倒れたり枝が折れたりするリスクは高まっている。樹木に人が巻き込まれる事故はほかにも起きていて、高くなりすぎたり、枝が横に広がりすぎたりしている場合は、行政などの管理者が早めに対応することが必要だ。住民も危険を感じるような場合には、管理者に伝えてほしい」と話していました。
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