◆東京1次訴訟が結審、10月30日に判決
同性婚を認めない民法などの規定は憲法に違反するとして東京都在住の同性カップルら7人が国に損害賠償を求めた東京1次訴訟の控訴審口頭弁論が26日、東京高裁であり、原告4人が意見陳述し、結審した。判決は10月30日。東京高裁へ入る原告や弁護団ら
2022年11月の一審東京地裁判決は、同性パートナーが家族になる法制度がないのは「人格的生存への重大な脅威、障害」として違憲状態としたが、具体的な法整備は「立法裁量に委ねられる」として訴えを退け、原告が控訴した。 同性婚訴訟は19年以降に5地裁で計6件起こされ、地裁判決は札幌と名古屋が違憲、東京(1次、2次とも)と福岡は違憲状態、大阪は合憲と判断した。初の高裁判決となった今年3月の札幌高裁判決は違憲と判断した。いずれも賠償請求は退けた。(加藤益丈) ◇◆結婚を望みながら亡くなった友人たち
意見陳述を終え、提訴からの5年間を振り返る原告と代理人弁護士
「何万人もの命の問題と捉えた判決を」—。東京高裁の法廷で26日、いずれも東京都在住の原告の女性カップル2組が同性婚の法制化への願いを訴えた。2019年2月の提訴以降、原告となったことで偏見やハラスメントにさらされたことや、結婚を望みながら亡くなった同性愛者の友人らの無念を語った。 原告の大江千束(ちづか)さん(63)と小川葉子さん(60)は、1994年からともに暮らし、女性同性愛者が集う居場所作りの活動を続けてきた。同僚らの応援に背中を押され、原告になったが、職場や交流サイト(SNS)で「社会性がない」などと心無い言葉を投げられた。大江さんは一時体重が20キロ落ち、体調不良の日が続いた。 原告を降りて養子縁組をすることも考えたが「親子になりたいわけじゃない。婚姻をしたい」と裁判を続けた。◆ハラスメントの現実にすすり泣きも
この日、2人は法廷で並んで立ち、ハラスメントの現実を訴えた。「性的少数者は異質な存在、というお墨付きを与えているのが現在の法律」と指摘し、「苦しかった年月の先に希望があると信じている」と声をそろえた。 傍聴席は当事者や支援者らで埋まり、時折すすり泣く声も響いた。原告の西川麻実さんと小野春さん=ともに50代=のカップルは、それぞれが男性と結婚していた時に出産した子ども計3人を育ててきた。保育園児だった子どもたちは全員が成人した。一方、提訴後の5年だけでも同性の伴侶を持つ友人知人が他界した。東京地裁、高裁などが入る裁判所合同庁舎=東京・霞が関
◆NHK朝ドラ「虎に翼」と根っこは同じ
東京1次訴訟では原告の佐藤郁夫さん=享年(61)=も2021年に亡くなった。西川さんは「婚姻の平等を達成するまでに何千、何万の性的少数者が無念のうちに死ぬのでしょうか。社会的な差別に疲弊して自死を選ぶ人もいる」と述べ「国の伝統や国民感情ではなく、命の問題と捉えて」と違憲判決を願った。 代理人の上杉崇子弁護士は「社会生活のあらゆる場面で、結婚できないことを理由に同性カップルは今も冷たく閉め出されている」と指摘。放映中のNHK朝の連続テレビ小説「虎に翼」のモデルとなった三淵嘉子さんが、女性ゆえに裁判官になれない理不尽さから志望したという話に触れて「同性カップルという理由で結婚できない理不尽さと、性別・セクシュアリティーに基づく差別問題として根っこが通じている」と訴え、明確な判断を求めた。(奥野斐) 鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。