「虹波」は、旧陸軍が抗菌作用があるなどとして開発を進めていた薬剤で、戦時中から戦後にかけて熊本県のハンセン病の療養所で強い副作用があると分かりながら臨床試験として投与が続けられ、試験中に薬剤投与との因果関係が疑われる死亡事例も出ています。
国立ハンセン病資料館によりますと、この「虹波」について、東村山市の多磨全生園でも投与されていたことを示す記述が、所蔵する当時の医学系雑誌から新たに見つかったということです。
記述があるのは、昭和22年刊行の医学系雑誌「皮膚科性病科雑誌」で、同じ年の4月に行われた学会で、当時の園長が虹波の治療成績を報告したとされています。
この中で、175人の入所者に薬剤が投与され、このうち72人は合併症や事故を起こすなどして3か月以内で中止されています。
また、57人に発熱や全身衰弱などの副作用が認められ投与が継続できなかったと記述されています。
「虹波」をめぐっては、投与の詳しい実態が明らかになっておらず、入所者で作る団体などは詳しい調査を求めています。
入所者自治会の会長 “投与の目的 しっかり調査を”
多磨全生園の入所者で作る自治会の山岡吉夫会長(75)は「当時、患者は少しでも早く治すために打たなければいけないと考えたと思います。ほかの療養所の調査ではひどい後遺症があったともされているので、そこまでして投与する必要があったのかと残念ですし、本当にハンセン病の治療のために使われたのか、違う目的があったのか、しっかり調べてほしいです」と話していました。
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