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お笑い芸人のにしおかすみこさんに、認知症のお母さんとの同居生活について、お伺いしました。 にしおかさんは、認知症のお母さんとの同居生活についての本を出版されています。

■認知症 約7割がアルツハイマー型

全国の認知症の高齢者数です。

2022年時点では、約443万人ですが、現在50代の団塊のジュニア世代が65歳以上になる2040年には、約584万人、6.7人に1人が認知症になるという推計です。

認知症の種類は複数ありますが、脳内に溜まった異常なたんぱく質により神経細胞が破壊され脳に委縮が起きる『アルツハイマー型認知症』が最も多く、67.6%と約7割です。

にしおかさんのご家族です。
▼お母さんが現在83歳。認知症と糖尿病を患っています。元看護師です。
▼51歳のお姉さんがダウン症で、平日は作業所に勤務しています。
▼お父さんは84歳で、にしおかさん曰く、酔っ払いで耳が遠く、元サラリーマンです。 にしおかさんが、お母さんの異変に気付いたのは、コロナ禍の2020年6月でした。

1年ぶりに実家へ帰ると、居間には食べ残しなどが溢れていて、ゴミ屋敷のような状態になっていました。 その中にお母さんがポツンと座っていました。

にしおかさんが、お母さんに、 「どうしたの?生ごみ臭いよ」と話しかけると、 お母さんは、 「どうって別に何もしたくないだけだよ」と返事をしました。
にしおかさんは、会話をしても、お母さんじゃない人と話しているような不安に襲われました。 そして、部屋の掃除をお母さんに促すと、お母さんは、 「あー!もう嫌だ!嫌だ!上等じゃねぇか!頭勝ち割って死んでやる」と怒り出しました。

にしおかさんは、「死ぬ」という言葉を使うお母さんの様子に異変を確信して、同居を決意しました。

にしおかさんは、お母さんと共に病院へ行き、認知症診断のために精神科を受診しました。
問診では、生年月日を聞かれましたが、お母さんは、受診した日の日付を答えようとしました。 一方で、答えられたのが、にしおかさんに関する質問でした。

「隣の方の名前と続柄を答えてください」と言われると、お母さんは、 「娘です。45歳。いまだ結婚せず、ふらふら行き遅れです」と答えました。

そして、CT検査を受けると脳の萎縮が見られ、初期のアルツハイマー型認知症と診断されました。 ■お母さんと過ごす中で感じた変化

記憶間違い
にしおかさんが仕事に行こうとすると、お母さんは、「今日は本屋のバイトよね。駅前でしょ。いってらっしゃい」といい、にしおかさんの職業が分からなくなることがあるそうです。

妄想
お母さんに、「ママにも覚悟があるから、出しなさい!薬と注射器!あんたを今から警察に突き出すから」と突然、言われました。

お母さんは、過去に健康に関する会話をした際に出た、『注射器』や『絆創膏』などのキーワードが頭に残っていて、娘が麻薬をやっていると妄想をしてしまったといいます。

薬の誤った服用
風邪を引いたお母さんが薬を飲んだことを忘れ、家にあった複数の薬を誤って服用して、体調に異変が起きてしまいました。 にしおかさんが、お母さんが認知症になって一番ショックなのは、「これまで大黒柱だった母が、出来ないことが増え、『ママ 何だったらできるのかな』と弱っている姿を見ること」だといいます。 一方で、にしおかさんの方の状況です。
過去には、友人に「地域包括支援センターに頼ってみたら?」と地域の支援相談窓口への相談を勧められましたが、お母さんへの負担を懸念して、一度 保留しました。 そんな時、お母さんが庭で脱水症状で倒れてしまいます。
にしおかさんが抱え上げようとしても、部屋までの40cmの段差をすぐに持ち上げられないことがありました。 こういったこともあり、心身とも疲れ果て、にしおかさんは地域包括支援センターに相談。 職員に家の様子を見に来てもらいました。 職員の方は、にしおかさんに、「要支援の認定を受けるには、調査員の訪問があります」と説明しました。
にしおかさんは、 「介護認定調査を受けて、母の気持ちが傷つかないか心配。そのため支援を受けるべきか悩んでいる」と第三者を頼ることに躊躇しているということです。 ■最新 アルツハイマー治療薬 今月承認へ

アルツハイマー型認知症の進行過程です。
まず、『アミロイドβ(ベータ)』と呼ばれる、異常なたんぱく質が、脳の神経細胞の外側に蓄積します。
そして『タウ』という異常なたんぱく質が、神経細胞の内側に蓄積します。これらによって、神経細胞が死滅し、認知機能が失われていきます。

2023年9月、承認された治療薬が『レカネマブ』です。
塊になり始めたアミロイドβを除去します。 対象は、早期段階の症状の軽い人で、認知機能低下を2〜3年遅らせる効果が期待できます。 今後承認される見込みなのが『ドナネマブ』です。
大きな塊になったアミロイドβを除去します。こちらも、対象は早期段階の症状の軽い人です。 認知機能などの低下を、1年半後の時点で22%抑制するというデータがあります。 さらに、今後承認が見込まれるのが『ブレクスピプラゾール』です。
これは、暴言や暴力などの症状に対する、初めての治療薬です。

暴言や暴力は、アルツハイマー型 認知症の患者の約半数にみられる症状です。 脳内の神経伝達物質の働きを調整する効果があります。対象は、暴言や暴力などの症状がみられる人です。

東京大学大学院 医学系研究科 岩坪威 教授
「?レカネマブとドナネマブについては、片方が使えない患者でも、他方が使えるなど選択肢が広がり、将来的には介護の必要な時期を遅らせることも期待できる」 この記事の写真を見る(22枚)
・「箸・ペンが持てない」急増 指に激痛“へバーデン結節”原因と対策 スマホの持ち方でリスクも・国内初 認知症に伴う暴力の治療薬に…うつ病の治療薬の使用を了承 厚労省・100年以上“猛暑日知らずの街”今年も「エアコンは使っていない」移住の相談は約2倍 さらに、夏でもサウナが味わえる“涼しい街”も・「川に白い水が流れている」で発覚 38年間トイレなどの汚水垂れ流し・690円カット美容室が全国拡大 平日タイムサービス順番待ち 物価高も工夫で価格維持

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