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 10日、9月に入って最多となる90の地点で、猛暑日を観測しました。福岡県・太宰府では今年52回目の猛暑日となり、猛暑日の最多記録を更新しました。

 そんな太宰府から近い場所にありながら、今年一度も猛暑日を記録していない涼しいスポットがありました。

■今年はまだ猛暑日は1日もなし 山口・秋吉台

 ギラギラと照り付ける、灼熱の太陽。10日、全国で最も暑かったのは、新潟・新津で37.2℃。9月の観測史上1位を更新しました。

 9月に入ってから猛暑日地点が一番多かった10日、特に目立ったのが西日本です。

 鳥取や大阪では35.4℃。さらに、山口県を含む九州北部地方でも佐賀と福岡で36.1℃。そして、今年猛暑日が最も続いた福岡・太宰府では36.8℃と、9月の観測史上1位に。猛暑日日数の歴代最多記録を52に更新しました。

 そんな暑すぎる太宰府から車でわずか1時間半の場所に、今年猛暑日を一度も記録していない特別な涼しいスポットを新発見。

 その場所とは、“地球の息吹”を感じるような、辺り一面に広がる大自然。人口およそ2万人の山口・美祢市です。

 人類の歴史よりも遙かに長い3億5000万年の時を経て形成された、標高200メートルから400メートルほどに位置する、日本最大級のカルスト台地「秋吉台」。総面積4502ヘクタール(東京ドーム962個分)の雄大な景色が、訪れる人を魅了します。

 温かい海でサンゴ礁として誕生した秋吉台。長い時間をかけ石灰岩へと変化し、地下深くに埋もれていたサンゴ礁の石灰岩がプレート運動により隆起する姿は、自然が織り成す芸術品です。

 10日、番組は山口県の秋吉台に向かいました。午後2時すぎの時点で、手元の温度計は29℃でした。東京都心の同時間帯と比べても7℃以上の温度差があります。  10日、秋吉台の最高気温は32.4℃。今年はまだ、猛暑日を1日も記録していません。

 秋吉台は、9月の一番暑かった日の平均気温が26.5℃と、涼しい街シリーズで取り上げた勝浦や銚子よりも低くなっています。

福岡・太宰府からの観光客
「私は太宰府から。暑いですね、ずっと。3〜4℃こっちのほうが涼しいと思う」 神奈川からの観光客
「ここは長袖でも耐えられる。日焼け止めをしても長袖を着ても、熱中症になりそうなぐらい暑いです、関東は」
「焦げそうな暑さ」

 なぜ秋吉台が、平均気温で勝浦や銚子よりも涼しいのか。その秘密は何なのでしょうか。

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■大鍾乳洞「秋芳洞」“夏は涼しく、冬は温かい”異空間

■大鍾乳洞「秋芳洞」“夏は涼しく、冬は温かい”異空間

 秋吉台の地下100メートルにある日本屈指の大鍾乳洞「秋芳洞」にやってきました。 つららのように天井からぶらさがる「傘づくし」  棚田を思わせるかのように、多くの皿を並べたような姿から名づけられた「百枚皿」や、つららのように天井からぶらさがる「傘づくし」。高さ15メートルの「黄金柱」は、岩壁を流れる地下水が何万年もの時を経て作り上げた秋芳洞のシンボル的存在です。  ダイナミックな自然の造形美は、まさに“神秘の地底王国”。特別天然記念物に指定されている秋芳洞は、昭和天皇が皇太子時代に命名されました。

 洞窟内は多くの観光客などでにぎわい、なかには長袖を着ている人が多く目立ちます。

山口・岩国から
「天然の冷蔵庫。生き返ったって感じ」 ニュージーランドから
「はあ〜。リフレッシュ、ベリーグッド!」

 洞窟内の温度は、四季を問わずおよそ17℃。一年を通じて太陽の光が当たらないため“夏は涼しく、冬は温かい”異空間スポットになっています。

三重大学大学院 立花義裕教授
「洞窟の中には冷たい川も流れていて、冷たい洞窟の中の空気がどんどんふき出していて、そのような穴がたくさんあるんですよね」  秋吉台周辺には400以上の鍾乳洞があり、風穴(ふうけつ)から冷たい空気が街に流れ込みます。

 さらに「カルスト台地」から湧き出た冷たい地下水が市内数カ所に点在し、秋吉台全体が涼しくなるというのです。

 周辺の飲食店では、こんな現象も…。

安富屋 専務取締役 安富善政さん
「秋吉台のごぼう(うどん)を使った食事がメインなんですが、今集計してみたところ、ざるごぼう・冷たいほうが出るのかなと思っていたんですが、温かいほうが8月・1カ月間で約1割ほど冷たいほうよりも多かった」

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■街に涼しさをもたらす“恵みの湧き水”

■街に涼しさをもたらす“恵みの湧き水”

 エメラルドグリーンに透き通る、神秘的な光景。秋吉台の中心部から車でおよそ15分。石灰岩が溶けてできた“カルスト台地の湧水”が毎秒186リットル、1分で11トンと絶え間なく湧き出ている「別府弁天池」。日本名水百選にも選ばれ、“恵みの湧水”が街に涼しさをもたらしています。  カメラを横に振るとエメラルドグリーンとは対照に、赤くなっている場所があります。よく見ると、赤く染まっているのは石。藻類(そうるい)の一種「ベニマダラ」が、石の表面で成長したものです。清流の日陰などでしか成長することができず、環境省の準絶滅危惧種に指定されています。  水面に反射する木々の緑と合わせると、“美しい3色のハーモニー”を奏でます。  水温は年中14℃ほどに保たれていて、“夏は冷たく冬は温かく”感じるといいます。

 この神秘的な光景を見ようと、駐車場は満車になっていました。

 水の恵みに感謝を表して奉納する「別府念仏踊り」は、山口県の無形文化財に指定されています。

美祢市観光協会 プロモーションプロデューサー
阿野太助さん

「1杯飲めば、1年長生きできる、水に恵まれた湧水の街。湧き水が各地にあちらこちら数カ所、数十カ所ある」

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■花火大会「寒い」沖縄からの移住者も

■花火大会「寒い」沖縄からの移住者も

地元住民
「朝晩が涼しいし、川がありますからね」 地元住民
「(Q.きょうクーラーつけてますか?)きょう、つけてないですね」
「(Q.エアコンのコンセント抜けていますね?)抜けてます」

 さらに、別の部屋のエアコンも…。

地元住民
「全部風が抜けるように開ける。ぜ〜んぶ開ける」  まさに鍾乳洞と湧水によって涼しくなっている街・美祢市。夜になると、カルスト台地の夜空を彩る幻想風景。轟音がこだましながら1300発の花火が打ち上り、西日本では珍しい「二尺玉」は大迫力です。 観光客
「後ろの人は『寒い』って、みんな言っていた。途中で気温調べていたよね」 亀田ロクサナさん
「ちょっと寒いですね。もう1枚欲しいけど(羽織る服を)忘れちゃった」  去年、沖縄から家族3人で美祢市に移住してきたポーランド出身の亀田ロクサナさんと、息子の空くんを取材しました。 沖縄から移住 亀田ロクサナさん
「沖縄の日差しが当たると、かなり暑いし逃げたい。こちら(美祢)はそんな感じはしません」
「(Q.エアコンなくても過ごせる?)過ごせます。ここは自然の中、風も来たり(秋芳洞は)いつも17℃。だから、冬に行っても中はちょうどいい。暑さちょっと逃げたいとあっち(秋芳洞)に」

(「羽鳥慎一 モーニングショー」2024年9月11日放送分より)

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