〈相談の4割は一時保護の対象〉
調査は子どもと日常的に接する機会が多い全国の児童相談所や学校、そして宗教虐待を受けたと訴える人たちにアンケート形式で実施しました。
このうち、児童相談所への調査では全国232施設のうち、229カ所から回答がありました。
保護者の宗教信仰に起因する虐待の相談はおととし4月からの1年半の間に47件あったということです。
およそ4割に当たる19件は一時保護の対象にもなっていました。
〈医療機関からも少なくとも20件の「宗教虐待」報告死亡事例も〉
虐待の具体的な内容は「言葉や資料により恐怖をあおる・脅す・無視する、本人の自由な意思決定を阻害する」が最も多く11件でした。
次いで「脅迫や拒否的な態度を示す等により布教活動等を強制する」などが4件となっています。
医療機関への調査では救命救急センターが設置されている304施設のうち、138施設から回答が寄せられました。
去年9月までの3年間で「医療機関を受診させない、医師が必要と判断した輸血などの治療行為を行わせない」など、少なくとも20件の「宗教虐待」が報告されました。
なかには13歳の子どもの骨髄移植を巡り、輸血拒否で死亡した事例もありました。
〈国がおととし指針を公表も…〉
国はおととし、宗教活動への強制的な参加や輸血などの治療行為を受けさせないことを虐待にあたるとする指針を公表しています。
今回の調査ではこの指針を認識しているかも聞きました。
その結果、「内容も含めてよく理解している」と答えたのは、医療機関で26.8%、全国の学校でも小学校で23.4%、中学校で21.9%、高校で17.8%と低い数字にとどまっていることが明らかになりました。
〈振り返れば「虐待だった」〉
一方、宗教2世ら28人を対象としたヒアリング調査では「後から当時を振り返って、虐待にあたる状況だったと分かった」という声が多く寄せられました。
調査にも協力したエホバの証人元2世 団作さん
「私が小さい頃には宗教のことなんて、家の外には絶対に言えないことだと固く信じていました」
自らも「宗教虐待」を受けてきた団作さんも今回の調査に協力した一人です。
自身の経験から、子どもたちのSOSを適切にキャッチするためには学校などが国の指針などにより感度を高めることが重要だと訴えます。
調査にも協力したエホバの証人元2世 団作さん
「(宗教虐待の存在について)ざっくりとした知識でも感度でもいいので、まずは皆さんが持っていただくということが、社会一般ということで言えば、必要だと思いますし、公的機関などで働いている方々には、やはり、一般よりももう一歩踏み込んで、QA(指針)についてある程度頭に入っているという方を作っていただくというだけでも、勇気を持って相談をしてきた2世を取りこぼさないという体制が作られればいいのかなと思います」
そのうえで、団作さんは子どもたちが指針を理解するためにも「難しい言葉を分かりやすくして学校に貼り出すだけでも違うのではないかな」と話しました。
アンケート調査では学校などから「信教の自由に関わることなので対応にためらいを感じる」という回答も寄せられています。
こども家庭庁は「宗教虐待」について、通常の虐待と同様に介入などの対応を躊躇せずに行う体制が必要だとしています。
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