藤原京(奈良県橿原市、694〜710年)跡から出土したかけ算の九九が書かれた木簡が、役人が徴税の計算などに使った最古級の早見表とみられることが分かり、4日、奈良文化財研究所が発表した。
調査を担当した桑田訓也主任研究員は「記された計算式が正しく、実用性が高いものとしては最古級といえる。古代の役人たちが九九をどう扱っていたかを知る手掛かりになる」と話した。
木簡は2001年に藤原京左京七条一坊で一部のみ現存した形で出土。番兵らが属した役所「衛門府」の推定地とされ、役人の考課などの木簡など約1万3千点が出土した。
九九木簡は長さ16.2センチ、幅1.2センチで木簡の一部だった。「規則性は見いだしがたい」と報告されたが、最新の赤外線装置を使い再検討したところ、「九々八十一」の下の2段目には「四九卅(三十)六」、3段目は「六八卌(四十)八」と読める可能性があることが分かった。
九九の並びから復元すると、最上段の右端が「九々八十一」で左端が「五九卌五」と推定。全体で8段5行で木簡は全長約32センチと想定できるという。同様の形式の木簡は国内で10点ほどの出土例があるが、研究者が復元したところ1段2〜3行になるものが多く、5行に及ぶ例は最大の行数という。
成果は同研究所紀要に掲載。5日午前10時から奈文研ホームページの「全国遺跡報告総覧」で閲覧できる。〔共同〕
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