車に傷をつけられたなどと言いがかりをつける「当たり屋」行為で、他人名義のクレジットカードを不正に入手して買い物をしたとして、警視庁犯罪収益対策課などは4日、詐欺と窃盗の疑いで、職業不詳の斎藤貴聡(たかあき)容疑者(32)=東京都江東区=ら3人を逮捕したと発表した。逮捕は3日付。

◆不正作成したクレカで買い物三昧、総額4000万円か

 ほかに逮捕されたのは、斎藤容疑者の妻で職業不詳の智華(ちはる)容疑者(33)=同=と、派遣社員の野村祐貴容疑者(30)=横浜市港北区。斎藤容疑者は黙秘し、智華容疑者は「全く身に覚えがありません」と否認。野村容疑者は容疑を認めている。  犯収課によると、3人は高級スポーツカーなどでトラックの後ろを走り、「飛び石で車が傷ついた」などと言いがかりをつけ、トラック運転手の免許証を撮影。画像をもとに他人名義のクレジットカードを不正に作成し、商品を購入したという。  2020年6月ごろから、関東近郊の高速道路で同様の手口を繰り返し、9人分の免許証写真を使って計34枚のカードを作成。被害額は4000万円に上るとみられる。  逮捕容疑では、昨年7月10日、大阪府内の家電量販店で他人名義のクレジットカードを使ってスマートフォン2台(計29万9600円)を購入。また今年5月15日、東京都中央区の衣料品店で、同様のカードで衣料品を購入した後に商品を返品し、現金約10万円を払い戻させたとされる。

◆自ら警察呼ぶことで事故に信ぴょう性を持たせ

 斎藤貴聡容疑者らは、高速道路でフェラーリやランボルギーニといったスーパーカーなどの高級外車に乗り、標的のトラックを物色。サービスエリアで止まったところで「飛び石で外車が傷ついた」「ボルトが飛んできた」などと言いがかりをつけていたという。  斎藤容疑者らは、車に傷が付いたと信じ込ませるため、自ら物損事故として警察官を呼んでいた。現場に来た警察官から当事者間での話し合いを促されると、「今後のため」と互いの免許証を写真で撮ることを提案。トラック運転手の免許証を写真撮影し、画像データを手に入れていた。

◆注意喚起「免許の写真、絶対撮らせないで」

 最近は、免許証の画像を使ってオンラインでクレジットカード発行手続きができる。斎藤容疑者らはクレジットカードが手元に届くよう、住所などを変更した偽造免許証を作成し、発行手続きに使っていたという。  捜査関係者は「一度警察官を呼ぶことで事故に信ぴょう性を持たせ、相手を動揺させて免許の写真を撮らせていた。運転免許証などの個人情報書類は悪用される恐れがあるので、撮らせてはいけない。連絡先の交換にとどめて」と注意を呼びかけた。(昆野夏子) 

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