環境省は3日、世界自然遺産に登録されている鹿児島県・奄美大島で、希少種を食べるなど、生態系に被害を及ぼしてしまうため防除を進めてきた外来種マングースについて、奄美市で有識者による検討会を開いた。2018年4月を最後に捕獲数がゼロとなっていることなどから、検討会は「根絶した確率が極めて高い」と評価した。検討会の評価を踏まえ、同省が根絶宣言を出す方向で検討している。
環境省によると、奄美大島ほどの大きさの島で、広く長期間定着したマングースの根絶が成功すれば、世界的にもまれな事例だという。
マングースはハブ対策として1979年、奄美大島に約30匹が放たれた。しかし、ハブは夜行性で、日中に行動するマングースが襲うことはほとんどなく、天敵にはならなかった。
2000年には約1万匹前後に急増。農作物や在来種への被害が相次ぎ、01〜02年ごろ、国の特別天然記念物アマミノクロウサギはマングース導入前の2割程度に減った。
3日の検討会では、23年度末までのセンサーカメラのモニタリング、わなによる捕獲数や探索犬による調査などの結果にいずれもマングースの生息を示す情報がないと確認。これらを基に2つの手法で算出した「根絶確率」はそれぞれ99.7%と98.9%だったことや、島民の目撃情報やエコツアーガイドらへの聞き取りも報告された。
環境省は00年から本格的な防除事業を始めた。05年施行の外来生物法に基づき、同年、マングースを特定外来生物に指定した。捕獲専門集団「奄美マングースバスターズ」を組織し、島内に最大約3万個のわなを設置したほか、07年度に国内で初めてマングース探索犬を導入した。
奄美大島では近年、アマミノクロウサギの姿をセンサーカメラが撮影する頻度が増えるなど、希少種は回復傾向。沖縄では依然、マングースの防除事業が続いている。〔共同〕
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