1億円以上の暗号資産を狙って男性を監禁し、暴行を加えて暗号資産に関する情報を聞き出して奪った罪などに問われた男の裁判員裁判で、検察は懲役15年を求刑しました。

無職の工藤源太被告(32)はおととし、複数人で共謀し、資産を持っていると情報を得た男性(34)を車で連れ去り、京都市内のゲストハウスなどに24日間にわたって監禁した上、スタンガンなどで暴行を加えてけがをさせ、時価1億円以上の暗号資産の送金に必要な情報を聞き出して奪った、監禁や強盗致傷などの罪に問われていました。

これまでの裁判で工藤被告は起訴内容を認めています。

■検察側「重要な役割になっていた」と指摘 弁護側「『暴力団と関係がある』と話した指示役からのプレッシャー」

これまでの検察の主張などによると、工藤被告は、ともに起訴されている指示役の三宅三成被告から、ある人物(事件の関係者ではない)の出資金回収を指示されたもののうまくいかず、別の共犯者から被害者の男性が「多額の財産を持っている」と聞き、犯行に及んだとされます。

また工藤被告は、犯行のために共犯者に指示して、被害者が通っていたパーソナルジム(共犯者が経営)に監視カメラを設置させたり、被害者を拉致するための車をレンタルさせたりするなど、実行犯の中では「重要な役割を担っていた」と指摘されていました。

一方弁護側は、「『暴力団と関係がある』と話していた、指示役の三宅被告から、『債権を回収しろ』と言われ、プレッシャーを感じていた」などと主張し、刑の重さを考慮するよう主張していました。

■検察「実行グループのトップで相応の利益得た」と懲役15年を求刑

2日の裁判で検察側は、「多人数による周到に準備された組織的な犯行で、その態様は強烈で被害者の尊厳をふみにいじり、強く屈辱感を与える極めて悪質なもの」と指摘。

その上で「被告人は実行グループのトップとして犯行を計画し、相応の利益を得ている」として懲役15年を求刑しました。

一方で弁護側は「検察の主張は指示役の男の存在がきちんと反映されていない。人の命に直結するような凶器は使っておらず、行為の危険性はそこまで重いとは言えない」などと刑を軽くするよう求めました。

判決は今月17日に言い渡される予定です。

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