通学や通勤の途中によく見かける道路標識の人型が、帽子をかぶっていることに気付いていますか?
■ヨーロッパ発デザイン 交通の混乱防止に一役
街中の道路標識をよく見てみると、帽子をかぶっていることに気付いたことがありますか。非常口のデザインなどは何もかぶっていませんが、ほとんどの道路標識が帽子をかぶっています。このデザインが交通の混乱を防ぐのに一役買っているのですが、一体なぜでしょうか。標識に詳しい日本サインデザイン協会の竹内誠会長に伺いました。その答えは「ヨーロッパの人が作ったデザイン」だからです。
なぜヨーロッパのデザインが、日本の交通安全に関わっているのでしょうか。1900年代のヨーロッパでは、自動車が量産されるようになり、多くの自動車が走るようになりました。
ただ、陸続きのヨーロッパではたくさんの国が隣り合うため、ある問題に直面しました。言葉や文化が違う国が隣り合うからこそ、国境を越えると、標識が文字で書かれていると、その意図が分からず、危なかったのです。
そこで、形や色、記号を使って、言語が違っても分かる標識の統一デザインを作ることになりました。1953年、フランスやドイツなどが中心となり、標識の国際デザイン「国際連合道路標識」、通称「国連標識」が誕生しました。
日本の標識と同じようなデザインで、既に帽子をかぶっています。当時のヨーロッパでは外に出る時、帽子をかぶるのが常識だったのです。だから、自然と帽子をかぶったデザインになったということです。
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■標識の記号化 外国人と子どもに伝わる■標識の記号化 外国人と子どもに伝わる
日本では「横断歩道」と文字で書かれた標識が一般的でした。そこで、あるビッグイベントがきっかけで、国際的な標識に移行することになりました。それは東京オリンピックです。日本が国連標識を採用したのは1963年です。その翌年に控えた東京オリンピックに向けて、道路を急ピッチで整備し、国連標識に変わったということです。
竹内会長によると、記号やマークを中心とした標識に移行することで、外国人にも標識の意味を認識してもらえるようになりました。さらに、文字が読めない子どもにも直感的に伝わるようになり、事故の減少にもつながったということです。
ヨーロッパで誕生した帽子をかぶった標識が、交通安全につながっています。
(スーパーJチャンネル「なるほどハテナ」2024年9月2日放送)
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