リーリーとシンシン2頭を同時公開　10年見守ったファン「癒やしをありがとう」　9月返還前に上野動物園

　治療のため9月末に中国に返還される上野動物園のジャイアントパンダ・リーリー（オス、19歳）とシンシン（メス、19歳）の同時展示が31日から園内で始まった。園には返還を知ったファンらが早くも足を運び、長年にわたり来園者を楽しませてくれた2頭をねぎらった。

多くの来園者が訪れ撮影される、中国への返還が決まったジャイアントパンダの雌シンシン＝東京都台東区の上野動物園で（布藤哲矢撮影）

　シンシンは4月から展示場所変更のため非展示となっていた。この日からは、リーリーとシンシンを並びの部屋で展示。リーリーは来園者に向かって竹をむしゃむしゃ食べてみせるなど元気な様子で、シンシンはゆったりと寝転がるなどしていた。

中国への返還が決まり多くの観客が見守る中、竹をほおばるジャイアントパンダの雄リーリー＝東京都台東区の上野動物園で

　「治療で帰ると分かっていても、気持ちが落ち着かなくて」。リーリーとシンシンを10年近く見守り続けてきた東京都荒川区のパート郡山知子さん（59）は時折声を詰まらせながら話した。シャンシャン、双子のレイレイ、シャオシャオを生んでくれたことをねぎらい「今まで癒やしをくれて本当にありがとう」と感謝した。

中国への返還が決まったジャイアントパンダのリーリーとシンシンについて話す冨田恭正副園長＝東京都台東区の上野動物園で

　同園の冨田恭正副園長（59）は、2021年の双子誕生時に、母親のシンシンと飼育係が代わる代わる2頭の世話をしたことを振り返り「飼育係とシンシンの連携で育て上げた」と感慨深げに語った。返還される2頭について「都民に愛され『動物って大事だよね』と感じてもらえた。これが本当に大きな貢献」とたたえた。　園は返還に合わせ、公式サイトでのメッセージ募集やパネル展、飼育職員らの寄せ書き展示などを予定している。詳細は同園公式サイトで。（中山高志）