台風10号が迫るなか、関東でも大雨への警戒が必要です。マンションの2階以上に住んでいても、突然室内に水が入ってくる恐れがあります。マンションに潜む台風時のリスクとその対策について、防災アドバイザーの岡部梨恵子さんに聞きました。
■マンション上層階で風が強まる理由
台風の浸水対策といえば、1階の出入口やシャッターに土嚢(どのう)を置くイメージがあります。ただ、岡部さんは「2階以上の建物に住んでいても、思わぬ場所から水が迫ってくることがある」と指摘します。防水工事推進協会は2018年にさいたま市でゲリラ雷雨が発生した際、2階のベランダで雨どいから激しく水が流れ込み、浸水する様子を撮影しました。出入口を開けると、室内に水が入ってくるほどの高さになっていたということですが、その原因は、排水溝の詰まりです。
岡部さんによると、ベランダにある植木鉢の砂や洗濯物の糸くずが排水溝に詰まっている可能性があり、大雨が入ると部屋まで浸水してしまう可能性があるということです。できれば、台風が来る前にきれいにしておくことを忘れないようにしてください。 もう一つの盲点は、給気口です。現在、24時間換気システムが義務付けられています。このシステムが稼働していると、給気口から外からの空気を取り込み続け、暴風雨の時には給気口から雨が吹き込む恐れがあるということです。さらに、高層階になるほど風が強まる傾向があり、被害が拡大する恐れがあるため、高い建物ほど気をつけたほうがいいかもしれません。
台風が来る時には、給気口を閉じて、24時間換気システムをオフにして、台風が過ぎた後は必ず元に戻してください。
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■水のう設置のタイミング■水のう設置のタイミング
さらに、このような被害が起きるのも1階だけではありません。住宅メーカーの一条工務店が撮影した実験映像では、湯船の排水口から濁った水があふれる様子が捉えられていました。これは下水の逆流ということです。 大雨が降ると、下水道に水が入り込み、処理しきれなくなった場合、排水管から逆流して家庭のトイレや風呂場に入り込んでくるのです。自治体によっては、台風や大雨の時には風呂や洗濯機の排水を控えるよう呼び掛けているところもあります。この現象は2階ぐらいまでの高さまで起きる恐れがあるため、1階だけでなく、上の階の人も気をつけるようにしてください。
それでも想定を超える雨量になると、逆流する場合もあります。その時できる対策は、水のうを使用することです。45リットルぐらいの大きさのゴミ袋を二重にし、水を半分ほど入れて口を閉じます。この水のうを風呂場や洗濯機の排水口の上に置きます。トイレの場合は、別の袋を1枚かぶせてから水のうを置くと、より衛生的ということです。
そこで、水のうを設置するタイミングも教えてもらいました。「ボコボコと音」「チャポチャポと水が動く」「下水の臭い」は逆流の予兆とされ、どれか1つでも当てはまる場合が、水のうを設置するタイミングです。
2階以上の高い場所に住んでいても、油断せずに備えるようにしてください。
(スーパーJチャンネル「なるほどハテナ」2024年8月29日放送)
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