毎年、旧暦の5月4日に海人のまちとして知られる糸満市で行われる手こぎ船のレース、「糸満ハーレー」では、港に放ったアヒルを捕まえる伝統行事「アヒラートゥーエー」が行われています。

この行事について、東京のNPO法人「アニマルライツセンター」は、アヒルに過度な恐怖心と心理的抑圧が必ず加わるものであり、アヒルの使用をやめるべきだと主張しています。

そのうえで、去年6月21日に行われた「アヒラートゥーエー」で虐待行為が確認されたなどとして行事の東恩納博実行委員長を動物愛護法違反の疑いで刑事告発していました。

警察は去年11月、告発を受理し、関係者への聞き取りや当時の映像の分析などを行って、ことし2月、東恩納実行委員長の書類を那覇地方検察庁に送付しました。

これについて那覇地方検察庁は「行事の歴史や文化的背景のほか参加者らの対応や主催者側の注意喚起といった配慮などを踏まえて検討した結果、虐待を行ったとはいえないと判断した」として今月18日付けで嫌疑不十分で不起訴にしました。

行事の実行委員長「監視徹底していく」

ハーレー行事委員会の東恩納博実行委員長は不起訴になったことについて「『アヒラートゥーエー』は伝統文化であり、アヒル捕りは昔から笑いを誘い場を和ます行事だった。虐待しないように放送で呼びかけ、専用のかごも準備して丁寧に扱っていたことをわかってほしいと警察にも検察庁にも繰り返し述べてきた。アヒルを傷つけたり、死なせたりするようなことはしていないと理解してもらえたのだと思う」と話していました。

そのうえで東恩納実行委員長は「ことしも実施することが決まったら、虐待行為が起きないようにアヒルの取り扱いについて注意喚起し、乱暴に扱う人がいたら制止して虐待につながらないように監視を徹底していく」と述べました。

刑事告発したNPO法人の代表理事「不起訴は残念」

刑事告発した東京のNPO法人「アニマルライツセンター」の岡田千尋代表理事は「参加者による動物たちへの虐待行為を防ぐことができなかったにもかかわらず、行事の主催者が不起訴となったことは残念です。愛護動物のアヒルを、泳いだこともない海に放ち、賞品として追い回す行為は明らかに動物を恐怖に陥れ苦しめる行為です。ハーレー自体は応援しますが、アヒル取り競争は動物を使わない娯楽へ変更することを切望します」とコメントしています。

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