伊藤隆さん(中央公論新社提供)

 政治家や軍人の日記などを発掘し、昭和戦前期の政治史研究をリードした歴史学者で東京大名誉教授の伊藤隆(いとう・たかし)さんが19日、複数の疾病による合併症のため死去した。91歳。東京都出身。葬儀は近親者で行った。  東京大助教授などを経て教授に。戦後の歴史学会で影響力を持ったマルクス主義から距離を置き、近衛文麿が先頭に立った「新体制運動」の実像など、戦前期の政治を中心に、史料に基づく実証的な研究で知られた。  伊藤博文、真崎甚三郎、鳩山一郎ら政治家や軍人の日記、書簡などの1次史料を精力的に収集、整理。元官房長官・後藤田正晴さんら要人への長時間の聞き取り(オーラルヒストリー)を現代史研究に本格的に取り入れた。  東京大教授の加藤陽子さんや日本大教授の古川隆久さんら多くの研究者を指導。埼玉大大学院教授や政策研究大学院大教授なども務めた。  後年は保守派の論客として「新しい歴史教科書をつくる会」の活動にも携わった。著書に「昭和初期政治史研究」「歴史と私」など。監修に「佐藤栄作日記」など。(写真は中央公論新社提供)


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