中国政府系シンクタンク「日本政府の決断に関わる」
韓国 報道官「安全基準外れた事例は1件もなかった」
このうち、50代の女性は「以前は海鮮を食べていましたが、今は避けるようになりました。自分の健康がより気になるからです」と話していました。
また、50代の男性は「中国と日本は今後も協力し友好的であるべきですが、この問題の責任は日本にあります。一方的に放出するのではなく、周辺国などとともに解決すべきで、今回の処理の進め方はいいかげんだったと感じます」と日本側の対応を批判しました。
一方、30代の女性は「私はあまり気にしません。少量なら大丈夫だと思います」と話したほか、40代の男性は「私は輸入を解禁していいと思います。科学的な知識が普及し国民が納得すれば、自然と食べるようになり、解禁されるでしょう」と話すなど、日本産水産物の輸入再開に前向きな声も聞かれました。
このほか、20代の女性は北京にある日本大使館に今も嫌がらせの電話が相次いでいることについて「当然だと思います。日本がこうした行為をとった以上、中国人の反応を受け止めるべきです」と話していました。
中国政府系のシンクタンク、中国社会科学院日本研究所の楊伯江 所長はNHKのインタビューで、中国政府が日本産水産物の輸入停止をめぐって独立したサンプル調査を含むモニタリングを行う機会を求めていることについて、「海洋放出の問題においては国際的な地域の連帯を考慮すべきで、自国のことだから他国によるサンプリングを許さないのというのは通らない」と述べ、今後の日本側の対応が焦点となるという認識を示しました。日本政府は、中国によるサンプル調査は国家主権などの観点から応じられないという立場を示していますが、楊所長は、日中の政府間協議が重ねられていることに触れて、「理論上は複雑ではないが、日本政府の決断に関わることなので、1つの政治的判断であり、決心の問題だ」と述べ、ボールは日本側にあると強調しました。一方で、楊所長は、輸入停止の措置について、「中国が環境保護や国民の健康を最も基本的なものとして考慮していることを理解してほしい」と述べ、中国の国民が経済成長に伴って環境汚染や健康被害に対する意識を強めていることが背景にあるという考えを示しました。また、楊所長は、「重要なことを取り違えないでほしいが、中国は日本の水産物に問題がないことを願っている」として、中国の人々は処理水への懸念さえ払拭されれば、輸入再開に前向きだと強調しました。
韓国政府は去年、東京電力福島第一原子力発電所にたまる処理水の海への放出が始まった際、「科学的基準と国際的手続きに従って放出されるのであれば、過度に心配する必要はない」として、放出を事実上容認する一方、周辺海域などでのモニタリングを強化してきました。放出が始まってから1年となるのを前に23日、韓国大統領府の報道官は「この1年間で4万9600件余りの検査を行った結果、安全基準から外れた事例はただの1件もなかった」と明らかにしました。一方で、韓国の最大野党は、放出について「国際社会の懸念と反対にもかかわらず、日本は人類最悪の環境災害の道などを選んだ」などと非難してきたほか、ユン・ソンニョル政権の対応も厳しく追及してきました。1年前、韓国では、海水を天日で干した塩に放射性物質が混ざるのではないかと懸念した市民が、放出前のうちに塩を確保しておこうとして、スーパーで塩が品切れ状態になるなどの事態も起きました。1年前の最初の放出の前後には、日本産水産物の輸入量が減少しました。ただ、韓国メディアによると、ことし上半期の日本産水産物の輸入量は、処理水放出前の去年の上半期と比べて、13%ほど増加しているということで、「日本産水産物へのリスクの認識が薄くなったためだ」などと報じられています。なお、韓国では、福島第一原発の事故を受けて、福島県など8県の水産物の輸入禁止措置が続いていて、措置の解除の見通しは立っていません。※ユン・ソンニョル(尹錫悦)。
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