各地のスーパーで、お米の品薄状態が続いています。
『令和の米騒動』という声も出ています。なぜ、売り場にお米がないのでしょうか。
■「どこにもコメが売ってない」各地でコメ不足相次ぐ
今、お米不足が深刻化しています。
X(旧ツイッター)の声「スーパーを4軒回ってコメがない。コメが売り場にない状況を初めて見た」
「2週間くらい前から、どこにもコメが売ってない。もう今夜の分しかなくて絶望」
「コメ売り場に、袋麺や切り餅がたくさん置かれている」 各地のスーパーでは、棚が空になったり、お米の入荷が不安定のため、購入制限をかけている店舗も出ています。 さらに、パックご飯も「一家族一日1点まで」と購入制限されているところもあります。 埼玉県内のスーパーでは、18日時点で、お米の販売量は例年の半分になっていました。 通常は、国産米を6〜7品種扱っていますが、それが2品種になっていて、この店舗でも一家族1点までの購入制限が設けられていました。 そして、販売している国産米は、5キロと2キロのみです。お米不足により、10キロ入りの国産米を仕入れることは難しいということです。 さらに販売価格にも影響が出ています。
2024年3月は5キロ約1500円でしたが、今は1000円値上げして約2500円です。
このスーパーでは、お米不足の対策として、価格が安いカリフォルニア産米を仕入れて対応しています。
「食べ盛りの子どもが3人いて、1週間で10キロのコメを消費するため、何軒か回ってコメを買い集めている」 70代女性
「朝昼晩とコメを食べていたが、昼は冷やし中華などにして、コメを食べるのは2食にした」 過去、1993年には、『平成の米騒動』と呼ばれた状況がありました。
この時は、記録的な冷夏と長雨による大凶作で国産米が品薄になり、政府は、タイやアメリカなどから、計259万トンのお米を緊急輸入しました。
「電話で『コメありますか?』という問い合わせが、1日5〜10件はある。ちょっとした米騒動になっている」と話しています。 次のページは ■『令和の米騒動』売り場から、コメ消えたワケ■『令和の米騒動』売り場から、コメ消えたワケ
なぜ、お米が品薄になっているのでしょうか?
1つ目に考えられる原因は『猛暑と水不足』です。
2023年、記録的な高温や少雨の影響によって、米どころの新潟や秋田で不作となりました。
収穫量を示す作況指数は、全国平均では101と『平年並み』でしたが、新潟県や秋田県では、『やや不良』となりました。
●水不足により収穫量が2割近く減少。
●猛暑による高温障害で米が白く濁るなど、品質・等級が低下しました。
農水省は、人口減少により、毎年10万トンペースで国内消費が減ることを前提に、主食用の米の生産をコントロールしています。
2021年と2022年のお米の民間在庫量は、コロナでお米の消費が低迷したため、適正水準を上回りました。
2020年から2023年までの3年間で60万トン以上減少し、2023年は、661万トンで過去最少でした。 一方で、消費量は、2022年から2023年にかけて、702万トンと、10年ぶりに増加しました。 コメ不足の原因3つ目は『訪日外国人の増加』です。
2024年の上半期には、過去最多の約1778万人で、コロナが明けて回復傾向です。このため、外食需要が急拡大して、消費が増加しました。
外国人が訪日前に期待していたことを聞くと、1位が「日本食を食べること」です。 農水省の試算では、2024年6月までの1年間で、訪日外国人が約3万トンお米の消費を押し上げたということです。 原因4つ目は『コメの“お買い得感”』です。日本では小麦はほとんど輸入なので、ロシアによる、小麦の産地であるウクライナへの侵攻や円安の影響で、パンや麺類など小麦製品の価格が上がりました。
一方、お米は国内生産なので、パンや麺類と比べると価格の上昇が緩やかでした。
こういったお米の割安感が、お米の消費を押し上げたとみられます。
8月8日〜15日、南海トラフ地震の想定震源域で大規模地震への注意が呼びかけられました。
埼玉県のスーパーの八木店長は、「『南海トラフ地震臨時情報』が出て、お客さんが備蓄用に買い求めた可能性も高いのでは」と話しています。 次のページは ■コメ品薄・高騰…今後どうなる
■コメ品薄・高騰…今後どうなる
お米の品薄や高騰は、今後どうなるのでしょうか。
坂本農水大臣です。「現時点で、主食用米の全体需給が逼迫(ひっぱく)している状況であるとは考えてない。収穫の早い産地は、8月には新米が出回り始め、9月からは主産地の出荷も始まる。消費者の皆様は、安心して普段通りにお米を買い求めてほしい」と話しています。 「9月以降、新米が出てくるので、ある程度、品薄は解消するだろう。ただ、今まで古米と新米が両方流通することで成り立っていたものが、古米が少ないので値下がりはない」 ■暑さに強い新品種『新之助』
暑さに強いお米の新品種です。
新潟県柏崎市で、20年以上お米の栽培をしている水野美保さんです。 東京ドーム3個分の田んぼで、6品種のお米を栽培しています。
2023年、水野さんが栽培するコシヒカリは、高温と水不足で、売り上げが平年より3割減りました。 水野さんは、「ドライヤーのような熱い風が吹いた時期が、ちょうどコシヒカリの穂が出る時期と一致。その時点で収穫しなくても、もうダメだなと思った」と話しています。 そのため、2024年からコシヒカリを減らして、『新之助』という米を増やしました。 『新之助』は、
●コシヒカリより暑さに強い
●稲の丈が短く、雨や風で倒れにくいので、稲刈りしやすい
●味は豊潤な甘みとコク
という特徴です。 2023年のコメの品質です。
コシヒカリは、1等米はなし、2等米が2%、3等米以下が9割以上でした。平年は1等米が9割、2等米が1割、3等米以下はなしということです。
一方、新之助はすべて1等米でした。
水野さんです。「新之助が暑さに強いと言っても、去年(2023年)は暑すぎた。ヒヤヒヤしたが、大丈夫だったので、これならいけるぞという感じが持てた」ということです。 では、2024年の米の生育状況はどうでしょうか。
コシヒカリも新之助も、ともに順調ということです。
ただ、水野さんは、「去年(2023年)は、稲刈り前に発生したフェーン現象で稲がやられた。今年もまだ予断を許さない」と話しています。 「新之助に期待しているが、地元なのでやっぱり『コシヒカリが1番』と思いたいところがある。コシヒカリでなんとかならないか、もうしばらくジタバタしてみようかなと」 (「羽鳥慎一 モーニングショー」2024年8月20日放送分より) この記事の写真を見る(28枚)
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。