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 ゴミの放置や騒音の被害など、外国人グループなどによる迷惑行為がバーベキュー場で多く見られています。中には国立公園の木の枝を折ってたき火にする人もいました。

■“無料で自由に遊べる”との情報が…SNSで拡散

 東京の西側に位置する“奥多摩”。緑豊かな風景が広がり、東京にいながら気軽に本格的な自然を満喫できる人気スポットです。

 お盆の連休最終日、駅からすぐの渓谷では、大自然に囲まれながらのバーベキューを楽しもうと多くの人でにぎわっていました。しかし、河原の方へ出ると、目の前に広がっていたのは異様な光景でした。

 あるグループは直火でバーベキューをしていて、煙がモクモクと出ています。テントの設営も禁止なのですが、テントだらけです。  このエリアは国立公園に指定されていることから、景観や環境保全のために“バーベキュー台を使わない、地べたでのバーベキュー”や“テントの設営”が禁止されています。  観光公害対策としてパトロールする奥多摩観光協会の矢作佑允さんも、この状況に思わず、「あきれてものが言えないレベル。無法地帯だなと…」と話します。

 違反であることを伝えるため、バーベキュー客に駆け寄ります。

矢作さん
「このエリア、直火は禁止の場所です。コンロを使ってください」 バーベキュー客
「はい!分かりましたー」 矢作さん
「テントだめなので…。次からは、キャンプ場を…」 バーベキュー客
「ダメだなー。ダメだぞー。これ、多分だめだ」

 違反行為をしている人の多くは、外国人です。

矢作さん
「(来るのは)外国人の方が多いですね。日本に住まわれている方が多い」

 町によるとSNSで“無料で自由に遊べる”といった情報が、日本に住む外国人の間で一気に広がったといいます。

 この光景に、バーベキューを楽しみに訪れた日本人は、次のように話します。

日本人バーベキュー客
「(奥多摩の)自然を守ってほしいとは思いますね。いるんならルールは守ってほしい」

 こんな場面もありました。斜面を登るタンクトップ姿の男性が、折った枝を次々に下のほうへと投げていきます。数分後、下に投げた10本以上の枝を両手に抱えると、折った枝をまき代わりにしています。さらに、枝だけでなく、ビニールも燃やしていました。

 男性に話を聞いてみました。

外国人バーベキュー客
「(Q.ここ直火でのバーベキューが禁止なんです、知ってましたか?)知ってました!テレビで見たことあります!」  ルール違反だと分かっていたと話す外国人男性。 外国人バーベキュー客
「すみませんでした」

 その後、火を消し、ゴミも放置せずに持ち帰ると話しました。

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■後を絶たない「ゴミの放置」も

■後を絶たない「ゴミの放置」も

 後を絶たないルール違反は、大きな事故にも…。

 遊泳が禁止されているエリアで、インドネシア国籍の男性(25)が川に流され溺れる事故が発生。一緒にいた友人が救助するも心肺停止の状態に。担架に乗せられ、その後ヘリで病院へと搬送されましたが、死亡が確認されたといいます。

 この事故を受け、町の消防職員などが注意喚起をする中、川では泳いでいる人がいました。

 町の職員が、川で泳ごうとする男性に注意しますが、遊泳禁止の注意を受けた男性は、浮き輪で川の流れにのって遊んでました。

 さらには、こんな行為も…。テントの中にあるスピーカーからは、周辺に響き渡るほど大音量で音楽が鳴り続けています。楽器を演奏し、ダンスをするグループもいました。

 こうした迷惑行為に、近隣住民は次のように話します。

近隣住民
「もう迷惑ですね。あの分からない言葉みたいなのが流れているし、もうずっと朝からね。寝てても、けっこう聞こえてくる」

 さらに…。

近隣住民
「橋のところがゴミの山のようになっているんですよ。植木を植えておかないと、朝なんかポーンと(ゴミがある)からね」  去年7月に撮影された写真では、「ゴミ捨て禁止」と掲げられた看板の下には大量のゴミが捨てられています。今も、ゴミの放置は後を絶ちません。  ゴミが、そのまま捨てられています。網の上には焼きイモでしょうか、食べていない状態で放置されています。

 他にも、炭の入った段ボールやガス缶、トングなどが川の近くに乱雑に残されていました。民家のすぐそばにも、酒などの空き缶が15本以上捨てられていました。

 午後になり、河原には午前よりもさらに多くのバーベキュー客がいました。 職員
「テントNG!」 外国人バーベキュー客
「はい…」

 ルール違反をする人がさらに増え、手がつけられない状態になりました。そこで、午前中は1人体制だったパトロールチームを6人に増やし、再びパトロールへ向かいます。

職員
「お兄さん、もうお片付けっていう感じですかね?」 外国人バーベキュー客
「あ、はい…」  片づけをしていると答えた数分後、もう一度戻ってみました。 職員
「先ほど、直火の件で注意したんですけど。これも直火なんですよ」 外国人バーベキュー客
「これ上に大丈夫?」 職員
「これダメですって!これ(直火)をやること自体がダメなんですよ」 外国人バーベキュー客
「(コンロ)買ったけど(持ってくるのを)忘れた」 職員
「持ってくるのを忘れた…やらないというのも一つの手段だと思うんですけど、帰るっていうのも」 外国人バーベキュー客
「終わったら片づけます」 職員
「絶対に片づけをお願いします!」  必死に注意を続けますが、バーベキュー客たちは聞く耳を持ちません。さらに…。 職員
「こういうのされると困っちゃうんで」

 直火の直後なのか、煙が立ち上り黒く焦げた石や炭が熱を持った状態で放置されていました。

職員
「ちゃんとこういうのは水をかけて、(火が)消えたことを確認してから帰ってもらわないと困る」

 他にも、バーベキューで使ったコンロを川で洗い流している人までいました。

 この河原では、こうした迷惑行為に対する罰則がないため、町は対応に苦慮しています。 奥多摩町職員
「言っても聞いてはいるんでしょうけど、もう入って出てって感じなんだと思うんで。ルールを突きつけても通用しない」

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■条例で規制…地元住民「良くなってるんじゃないか」

■条例で規制…地元住民「良くなってるんじゃないか」

 一方、迷惑なバーベキュー客を条例で規制する動きもあります。

 栃木県鹿沼市の大芦川。水面がエメラルドグリーンに輝き底まで透き通って見えるこの川は“関東一の清流”とも呼ばれ、多くの観光客でにぎわっています。

群馬から
「自然とか感じられて、川とかでも遊べて結構楽しいです」  川沿いのバーベキューが人気のこの地区でも、これまで迷惑行為が続出していました。  こうした問題を受け、鹿沼市は今年から一部のエリアでバーベキューなどを規制する条例を設けることに。違反者には、1人あたり最大5万円の過料が科せられます。 アナウンス
「バーベキュー、花火、騒音が禁止となっています」

 多くの人が訪れる夏休み期間は、市の職員らが毎日パトロールを行います。そのパトロール中に…。

鹿沼市職員
「中、見させていただいても」
「開封されてはないですね」 バーベキュー客
「使っていないです」
「(Q.バーベキューのセットを持ってこられてた?)はい、去年は良かったんですけど」
「(Q.このあと、どうされる?)できるとこが下にあるので、そっちのほうに」  この日は職員の声掛けで禁止行為を未然に防ぐことができ、違反をした人はいませんでした。 地元住民
「良くなってるんじゃないかというのは、地元の我々住民からしてもよく感じますね」  一方で…。 鹿沼そば せせらぎ
神山美沙子さん

「あそこで火起こしたんでしょうね。石まとめてるんで」

 夜間のバーベキューが禁止されているエリアですが、大芦川沿いのそば店で働く神山さんは、次のように話します。

神山さん
「外国の方とか、バーベキューとか。夜、音楽鳴らしたりして、やられてることが多い。大まかに取り締まりはできてるんですけど、裏のほうはまだまだかもしれないなっていう。今度違う穴場を見つけて、じゃあここでやろうみたいな」

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■有料化で「子どもも安心して遊べるように」なった場所も

■有料化で「子どもも安心して遊べるように」なった場所も

 東京都奥多摩町の氷川渓谷では、ルール違反するバーベキュー客などへの罰則は現状ありません。

 奥多摩町の職員は「町や観光協会で日々声掛けに取り組んでいる。ただ、ルールをしっかり知ってもらうためにも、罰則をもうけるべきではと感じる」と話しています。

 一方、大芦川が流れる栃木県鹿沼市では、今年の4月から条例が施行されました。内容としては、保全区域でバーベキューなどの禁止行為をした場合、1人あたり最大で5万円の過料が科せられるというものです。

 では、これでどのような変化が出たのでしょうか。

 担当者によりますと「今年度は去年より確実にゴミの量は減っている。条例の手応えがあると思う」とのことです。

 というのも、コロナ禍の2020年から2021年にかけて、違反客がかなり増えたそうです。2021年のゴールデンウィークでは、一日100件程度の通報もあったそうです。

 そこで、2022年に大人1人1000円の有料バーベキューゾーンを整備しました。担当者は、「マナー違反のお客さんも減り、子どもも安心して遊べるようになった」と話しています。

(「羽鳥慎一 モーニングショー」2024年8月22日放送分より)

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