2日続けてイルカにかまれる被害も

敦賀市の沖合にある「水島」の海水浴場では20日まで2日続けて海水浴客がイルカにかまれる被害がありました。

周辺では警察の警備艇がパトロールを行ったほか、水島に向かう船が行き来する桟橋にはイルカに注意を促す看板が設置されました。

また、船内では乗務員が「イルカが出ているので、見かけたら海に上がってください」などと呼びかけていました。

東京から来た20代の女性は「イルカは水族館で見るもので、あまり身近ではなかったので被害が起きて怖いなと思います」と話していました。

滋賀県から来た20代の男性は「小さい子どもも一緒に来ているので、イルカが来てもすぐにあがれるように浜辺で遊ぶようにしています」と話していました。

千葉県から家族連れで訪れた50代の男性は「事故があったというニュースを見て、来るのをやめようかとも思いました。イルカの被害が怖いので、足がつくところで遊ぶようにしています」と話していました。

美浜町の海水浴場では21日も遊泳エリアで目撃

福井県美浜町の海水浴場では、21日も遊泳エリアでイルカが目撃され、海水浴場のスタッフが沖合に誘導しました。けが人はいませんでした。

美浜町の水晶浜海水浴場では21日午前11時ごろ、遊泳エリア内をイルカが泳いでいるのが見つかったことから、遊泳中の人たちに放送で岸に上がるよう知らせるとともに、男性スタッフが水上オートバイで沖合に誘導しました。

その際に撮影された映像には、イルカが水上オートバイと並んで泳ぐ姿が写っています。

一連の被害を出した個体かどうかは分かっていません。

おととしからイルカ被害相次ぐ

福井県内の海水浴場では、おととしからイルカによる被害が相次いでいます。

警察や海上保安部などによりますと、おととしは福井市の越廼海水浴場や鷹巣海水浴場といった県北部を中心に少なくとも21人がけがをしました。

去年は敦賀半島にある美浜町の水晶浜海水浴場など県南部で被害が相次ぎ、少なくとも9人がけがをしました。

ことしも去年に続いて敦賀半島の海水浴場に被害が集中していて、7月21日から8月20日までに合わせて18人がけがをしました。

警察などによりますと、過去3年間でけがをした48人のうち、およそ8割が県外からの訪問客だったということです。

海上保安部はイルカを見かけても絶対に近づかず、すぐに岸に上がるとともに、餌を与えないよう呼びかけています。

専門家「甘噛みでコミュニケーション 人に対しても…」

イルカの生態に詳しい三重大学大学院生物資源学研究科の森阪匡通教授は去年、ことしと同様にイルカの被害が相次いだ現地を訪れて、生態を調査しました。

先月以降、福井県内で被害が報告されているイルカについて「去年沿岸で見られたイルカと尾びれの傷の特徴が似ていることや、本来複数頭で行動するイルカがずっと1頭でいることは珍しいことから、同じ個体だと考えるのが妥当だ」と述べました。

くちばしや胸びれなどの特徴からミナミハンドウイルカのオスとみられるということで「ミナミハンドウイルカはオスどうしで甘噛みをしたりして、コミュニケーションを取る。人にけがをさせたいわけではなく、イルカのコミュニケーションのやり方を人に対してやっているのではないか」と指摘しました。

そのうえで「イルカが人と触れ合うことが怖いものではなく、快適なものだと覚えると今後も被害が続くことになる。いちばん大事なことは早くイルカに気付くことで、イルカの姿が見られたらすぐに遊泳客に周知して、海からあがってもらうことを徹底する必要がある。慌てるとイルカが興奮するので、落ち着いて静かに離れてほしい」と話していました。

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