著述家の松岡正剛さん(2012年)

「編集工学」を提唱し、情報や宗教、美術など幅広い分野で日本文化を論じた、著述家の松岡正剛(まつおか・せいごう)さんが8月12日午後1時53分、肺炎のため東京都の病院で死去した。80歳。京都市出身。葬儀は近親者で行った。後日、お別れの会を開く予定。

早稲田大を中退し、1971年に雑誌「遊」を創刊。既存の学問を横断した誌面や先鋭的なデザインが注目を集めた。

異なる分野を結び付ける「編集」の思考法を、出版の枠を超えて応用する「編集工学」を提唱し、87年に編集工学研究所を設立した。

2000年には、インターネット上で毎日1冊ずつ紹介する読書案内「千夜千冊」を開始し、1800冊を超えるライフワークになった。

東京の大型書店「丸善丸の内本店」の店舗内に約3年間、実験的書店を開き、無印良品の書籍コーナーに携わるなど、出版環境が変わる中で読書や書店の可能性を探り続けた。帝塚山学院大教授や、20年に開館した文化複合施設「角川武蔵野ミュージアム」(埼玉県)の館長を務めた。

独自の日本文化論を展開したほか、幅広い分野の研究者やアーティストとの交友で知られ、対談本や共著も多く残した。編集や監修を手がけた書籍に美術全集「アート・ジャパネスク」や「情報の歴史」、著書に「空海の夢」「知の編集術」「日本という方法」など。〔共同〕

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