長崎原爆に遭いながら国の援護区域外にいて被爆者と認められていない「被爆体験者」の救済を巡り、国と長崎県・市が27日に協議を始める。過去の判例を理由に救済に消極的だった国が岸田文雄首相の指示で重い腰を上げた形。体験者は20日、期待を寄せる一方で「本当に救済につながるのか」などと不安の声を上げた。
被爆者には被爆者健康手帳が交付され、医療費の自己負担分が無料になるが、被爆体験者はがんの医療費助成などにとどまっており、厚生労働省は現状の支援の在り方を検討する方針。体験者が救済を求めた過去の訴訟では、原爆による放射線の影響を受けたとは言えないとの判決が確定しており、新たな科学的な根拠に関しても議題になるとみられる。
被爆者認定を求める訴訟の原告となっている被爆体験者からは、期待と不安が交錯した。首相と面会した原告団長岩永千代子さん(88)は20日、長崎市で記者会見し「救済のきっかけになるのか、お茶を濁すような協議になるのか。全面的に解決することがあればいい」と述べた。
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