名古屋市の水道料金改定を検討していた審議会は19日、上下水道の料金を平均11・8%値上げするべきだと答申した。市上下水道局は答申をふまえ、料金改定に向けた手続きを進め、来年10月分から値上げする方針だ。
市上下水道局では、物価高の影響で電力費などの支出が増加。水道は2022年度には約3億円の赤字となった。赤字はコロナ禍で料金を減額した年などの例外を除くと、27年ぶりだった。23年度も約4億円の赤字を見込み、市は今年5月、料金の適正水準について審議会に諮問していた。
審議会は物価上昇が続くなか、老朽化する水道施設の改築が増加するうえ、人口減少による料金収入の減少が見込まれると指摘。現行料金のままでは24~28年度末の累計で上下水道で計約290億円の赤字となると試算した。
事業を安定的に運営するには、水道料金は11・2%、下水使用料を12・5%それぞれ値上げすべきだと答申した。
答申では基本料金の値上げ幅の割合が高く設定されており、一般的な単身世帯では月あたり約500円、4人世帯では月約240~290円の上下水道料金の値上げが想定される。
値上げが実施されれば、水道料金は1996年以来、下水使用料は2000年以来となる。
河村たかし市長は値上げの答申を受け入れる意向を示し、「水道の安全性を守ることは市民の命を守ることに直結する。市民の皆さんにはご理解とご協力をお願いしたい」と述べた。(寺沢知海)
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