東京電力は福島第一原子力発電所2号機での燃料デブリの試験的取り出しについて、8月22日に着手すると公表した。順調にいけば約2週間でデブリが取り出せるとしている。
福島第一原子力発電所2号機では、事故で溶け落ちた核燃料=「燃料デブリ」を事故後初めて外部に持ち出す「試験的取り出し」が計画されている。
非常に高い線量であることから直接近づくことはできず、廃炉作業の最難関と言われているデブリの取り出し。
試験的取り出しは当初、2021年中の着手が予定されていたが、ロボット開発の延期や、経路に堆積物が詰まってることの発覚で新たなロボットを製作する必要性が生じるなどして、3回延期されていた。
第一原発には880トンのデブリがあると推定されていて、試験的取り出しでは、3グラム以下のデブリを取り出す計画。
東京電力は8月19日午後5時から福島県庁で報道機関からの質問に答えた。
Q 着手とはどのような状況か?その後の具体的なスケジュールは?
A 着手の定義は、テレスコ装置(釣り竿型ロボット)の先端が隔離弁(格納容器との境)を通過したタイミングである。着手の前にエンクロージャ(作業用の前室)に窒素を封入し、建屋内の外気との隔離をする。
その後、X6ペネ(ロボットが通る配管)を通って、格納容器の中に装置をのばしていく。
燃料デブリの採取時期は具体的に現状で申し上げることはできないが、来週(8月26日の週)にはデブリをつかみに行くと考えている。
Q デブリを採取して持ってくるスケジュールは?
A テレスコ装置(釣り竿型ロボット)が入ってからデブリをつかんで最終的に容器で受ける工程で2週間程度と予定している。まずは安全を最優先に、安全に確実に進めていく。
Q 順調に行けば2週間ということか?
A その通り。
Q 作業体制は?
A 作業に関わるのは1日あたり約60人。作業時間は実働として午前6時から午前8時。日々変動するので、必要に応じて柔軟に対応する。
Q デブリを容器に入れるのは格納容器から出してからか。
A その通り。線量の測定をして受け入れられるようであれば容器に入れる。
Q 中止する場合はどのような条件か。
A エンクロージャー(作業用の前室)で(高線量の放射性物質を含む)ダストの漏れが確認されれば作業は止める。
つかんできたデブリが帰ってくる途中に線量計があるが、その線量計で1時間あたり24ミリシーベルトよりも高い場合には格納容器に戻す。
線量が高いものをもってきても運搬や隔離に支障をきたすので。
Q 線量が高く、デブリを格納容器に戻した場合にはもう一度取り出しを実施するのか。
A 戻してすぐに再度つかみに行けるのかというと間隔が必要だとは思うが、目的が達成されるまでは実施する計画。
東京電力は8月19日に燃料デブリに関するポータルサイトを開設していて、デブリに関するこれまでの取り組みや、最新情報を公開するとしている。
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