能登半島地震の被災地でのボランティアを希望する全国の学生に、宿泊や移動費などを負担して活動を後押しする取り組みが、静岡市の防災教育団体によって進められている。費用面の支援に加え、活動で役立つ知識を学ぶ動画研修の受講も必修化。研修で鍛えられた若者たちが、能登に派遣され、復興に向けて活躍している。(柴田一樹)

◆きっかけは学生自身の経験から

 企画したのは、大学院生や教授らが2022年に設立し、防災研究や教材開発などに取り組む一般社団法人「BOSAI Edulab(エデュラボ)」。元日の地震を受け「ユース災害ボランティア基金」と銘打って出資金を企業などから募り、旅費や研修動画の制作に充てた。  プログラムには、留学生を含む夏休み中の大学生50人が参加。8本の動画研修とテストを受けた学生たちは、上限3万円の交通費補助で、のと里山空港(石川県輪島市)に集合。各市町の社会福祉協議会と連携して活動する。日程は3泊4日。同県能登町のゲストハウスを無料で利用できる。

第1陣で派遣された学生らと、バスなどを手配した法人理事長の上田啓瑚さん(左端)=石川県輪島市で

 法人理事長で、筑波大大学院博士課程2年の上田啓瑚(かみだ・けいご)さん(25)は「ボランティアで力になりたい思いがあっても、距離などの問題があると学生はお金がないし、現地での調整も難しい。そんな学生が一歩を踏み出せるようにしたかった」と自身の経験を交えて事業のきっかけを語る。

◆「学んだことを地元に持ち帰り、若い防災リーダーに」

 7月末から始まった派遣は、計12陣に分けて9月1日まで行う。7月27~30日の第1陣で派遣され、倒壊家屋のがれき撤去や家具運搬などを手伝った三重大4年の菅原良さん(21)は「ボランティアは初めて。金銭面や現地への行き方で不安が大きい中、参加しやすかった。同世代の学生同士で活動できるのも良い」と話した。  「効率的な学生の派遣で少しでも早い能登の復興につながれば」と上田さん。今後は能登以外の全国の被災地でも学生をつなぎたいといい、「各地で災害が頻発する中、ボランティアを経験して学んだことを地元に持ち帰ってもらい、それぞれの地域で若い防災リーダーが育ってほしい」と展望を語った。 

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