日向灘で8日夕発生し、宮崎県南部で震度6弱を観測したマグニチュード(M)7.1の地震を受け、南海トラフでの「巨大地震注意」の臨時情報を発表していた政府は、特段の異常なく1週間経過したことから、15日午後5時で注意の呼びかけを終了した。  気象庁によると、日向灘での地震活動は平常時より活発だが、減衰に向かっている。東海地方から日向灘に及ぶ想定震源域で、巨大地震につながるとみられるような異常な地殻変動は観測されていない。  8日以降、紀伊半島などの地下深くで微小な低周波地震とそれに伴う「短期的ゆっくり滑り」(プレート境界が緩やかにずれ動く現象)が観測されたが、過去にも繰り返し見られた現象の範囲内で、特に異常な状況ではないという。  南海トラフ巨大地震に関して臨時情報を出す制度は2017年に創設。19年に現在の名称「南海トラフ地震臨時情報」となった。日向灘で発生した地震の規模が、滑った断層面の面積や滑りの量などから算出するモーメントマグニチュード(Mw)で7.0となり、「巨大地震注意」とする基準(Mw7.0以上)を満たしたことなどから、8日夕に気象庁で開かれた臨時の評価検討会で議論の上、今回初めて発表された。

8日、「南海トラフ沿いの地震に関する評価検討会」を終え、記者会見する地震防災対策強化対策地域判定会の平田直会長(左)と気象庁地震火山部の束田進也地震火山技術・調査課長(木戸佑撮影)

 内閣府は「臨時情報には期限を設けていない。特別の注意の呼びかけは終了しても、日頃の備えは万全にしてほしい」と説明。気象庁は「1週間経過したからといって大きな地震発生の可能性がなくなったわけではない」として、南海トラフ巨大地震やその他のM7クラスの地震についても、日頃の備えをあらためて呼びかける。(宇佐見昭彦) 

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