登山規制が始まってから、およそ1カ月経った富士山。オーバーツーリズムの問題が指摘されるなかで、新たな富士登山の楽しさを模索しようという動きも出てきている。
■山の日も富士山大混雑
8月11日の「山の日」も、富士山5合目は多くの観光客や登山者でにぎわっていた。 男性グループ「(円陣を組みながら)富士山一発気合入れていくぞ」 スペインから来た登山者
「日本といえば富士山を思い浮かべます。だから登ってみたかったんです」
東京から来た2人組。去年、山頂を目指すも8合目で無念のリタイアとなり、今回はリベンジ登山。事前に2000メートル級の山に登りトレーニングしてきたという。
2人は無事8合目の山小屋にたどり着いた。そして、午前3時15分に9合目に着いた。 リベンジ登山成功 松井有紗さん(26)「ご来光見られました」 リベンジ登山成功 片石奈緒さん(27)
「頑張って登ってよかったです」 松井さん
「めちゃくちゃきれいです」
出発前、円陣を組んでいた男性グループも山小屋で仮眠を取り…。
大阪から来た 村上諒真さん(23)「(7合目付近)午後11時、山小屋出ました。山頂に向けて出発しています」 そして、午前5時ごろに山頂でご来光を見れた。
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■弾丸登山、軽装登山が問題に スーツケースを引く人も■弾丸登山、軽装登山が問題に スーツケースを引く人も
7月、山梨県側の吉田ルートで始まったのが、通行料の徴収や登山者の人数制限を設けた“登山規制”。 山小屋に泊まらず、夜通しで山頂を目指す“弾丸登山”は94%減少。富士吉田市は「弾丸登山や混雑緩和などに効果的な結果が得られた」と発表した。 その一方、水際で“弾丸登山”を阻止する指導員がいた。 指導員「そういうこと(弾丸登山)をしてほしくないから、今回規制をかけているんです」
寝袋を持参し、弾丸登山を考えていた外国人の登山者。指導員はやめるように厳重に注意する。
指導員「夜にかけて寒くなって、危なくなってくるんでいいですか?」 外国人登山者
「分かりました」 深夜0時の富士山9合目で、道の両側に腰を下ろし休憩する人や保温性の高いアルミ製のシートをかけ横になる人。中には、何も掛けずそのまま寝ている人もいる。これは100人以上の外国人グループが弾丸登山をする様子だ。 万年雪山荘 渡辺和将代表
「迷惑どころか当人たちにも危険が及びますので、どの程度その危険性を理解されているか」 今年は富士山開山後の事故が相次ぎ、すでに7人が死亡。去年の4人を上回る数字となっている。
万全な準備をせずに山を登る“軽装登山者”が問題になっている。
中には、半袖、半ズボンでスーツケースを引きながら登山する外国人もいた。 外国人登山者「着替えの服が入っているんだ。替えの靴、それに服もね。全然重くない、軽いよ」
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■街歩きスタイルで登山「良い写真を撮るため」■街歩きスタイルで登山「良い写真を撮るため」
ラトビアから来た4人家族は、東京を観光し、このあと京都・大阪を巡るが、一番楽しみにしていたのは富士登山だという。しかし、岩場を登る母親(42)はサンダルで肩にバッグをかけたノースリーブ姿。父親(40)はスニーカーに半袖、半ズボン。娘(14)はタンクトップ、息子(13)は白シャツで登っていく。まるでショッピングに行くような装いだ。
父親「家族旅行なので良い写真を撮りたいんです。だから、こんな服装なんです」 母親
「私はジョギングパンツをはくようなタイプじゃないのよ」
岩場の坂道では、父親が息子の手を取って登っていく。
「6合目以降、サンダルや薄着は危険だ」と指導員が指摘。砂利と岩場の道が続き、気温の変化も大きいため、一家は下山することにした。 父親「全く大変じゃないよ。楽だったよ。きょうは時間がないから山頂まで行けないんだ」 母親
「快適だったわ」
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■ゴミ放置も…5合目のオーバーツーリズム問題■ゴミ放置も…5合目のオーバーツーリズム問題
登山口の入り口、5合目は観光客と登山者が入り乱れる形で大混雑だ。
イスラエルからの観光客「きょうは天気が良くて富士山がきれいに見えたので来ました」 吉田ルートの5合目から登る登山者は減ったものの、5合目の人の多さは依然変わらぬままだ。 富士山PR事務局 山口一臣さん
「人が来ることによって、当然ですけどもゴミの問題とかが起きてきます。富士山の中にはゴミ箱がないんですね。基本持ち帰って頂きたい」 5合目には、プラスチック容器や酒瓶が放置されていたり、食べかけのアイスクリームやたばこの吸い殻が捨てられていた。 さらに、コンクリートブロックの上には空き缶やペットボトルも放置されていた。 山頂から下山した登山者
「結構ゴミが落ちていて、実際に拾ったゴミがあるんですよ」
リュックからは、登山道で拾ってきたタバコやおにぎりの包装紙などのゴミが出てきた。
山頂から下山した登山者「あまりにも多いので、ちょっとだけでもきれいにして帰ろうと思って」
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■知られざる富士山絶景スポット「奥庭」■知られざる富士山絶景スポット「奥庭」
深刻化する富士山5合目のオーバーツーリズム。その問題を解決する方策が、新たな富士山の魅力の提案だ。 山口さん「あそこの階段を一歩上がったら、まるで別世界が待っています。すごく良い場所なのに知られていない」 富士山5合目の登山道とは反対方向に延びる「御中道」。元々は、富士山をぐるっと1周するルートで、その一部がトレッキングコースとして整備されている。 5合目から山頂を目指す場合、森林限界を超え、登山道のほとんどが砂利や岩場だが、御中道は木々に囲まれた緑豊かな遊歩道になっている。ほぼ平坦(へいたん)な道のため、体力に自信のない人でも大自然を満喫できる。
御中道を抜けると…。
山口さん「きょうは天気が最高だ。ちょうど雲と青空がね」 階段をのぼり振り返ると、絶景の富士山が!「奥庭」は、知る人ぞ知る富士山の絶景スポットで、人も少なく、雄大な富士山を思う存分、眺められる。
(「羽鳥慎一 モーニングショー」2024年8月13日放送分より)
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