39年前に墜落直前の機体が削り取った山の稜線を、朝から晴れ渡った青空が縁取った。日航機墜落事故の遺族らは12日、現場の「御巣鷹の尾根」の急斜面を一歩一歩登り、点在する墓標に亡き人への尽きない思いを伝えた。

 「来年も来るぞ」。酒好きだった父義員さん=当時(58)=を亡くした兵庫県西宮市の自営業小西正明さん(69)は、墓標に日本酒を注ぎ、語りかけた。好きなマージャンは父が教えてくれた。「今でも、つい昨日のことのように感じる」

 日差しの中、つえを頼りに歩く遺族の姿も。大阪府箕面市の柴田百合子さん(87)は、娘の滝井千合子さん=当時(21)=を失った。「娘は今もここにいると思い、毎年来ている」と語った。

 今年1月、羽田空港で日航機と海上保安庁の航空機が衝突した事故に心を痛める言葉も聞かれた。姉の山口静子さん=当時(32)=一家4人を失った横浜市の宮坂幸子さん(66)は「事故はわがことのように胸に来る。安全を忘れているのではないか」と話した。

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