“15歳の母”として話題になった人物がいる。中学3年生、15歳の時に同級生と交際し、その後に妊娠が発覚した横井桃花さん。
【映像】中学3年生・15歳当時の横井桃花さん
2020年、当時17歳だった横井さんは、『ABEMA Prime』の取材に対し、日々変わりゆく体に不安を抱えた妊娠時代を振り返っていた。相手の男性からは、「自分の子じゃないと言われ、生まれる1カ月前に連絡が途切れた」。しかし、「ちゃんと育てる責任の取り方をしたい」という決意をもって出産し、実家の母の支援を受けながら子育てに励む。
「これからお金がかかるため、どうやってやりくりすればいいか」と話す当時の収入は、学童保育所のアルバイト代で月わずか7万円。彼女は今どこで何をしているのか、『ABEMA Prime』が再び取材した。■母は22歳、子どもは7歳に 今の生活は
横井さんは現在22歳、ヘッドスパのセラピストをしている。「今までの仕事より自分に合っていて楽しい」。今春からこの仕事を始め、安定した収入を得られるようになった。
当時2歳だった息子の幸希くんは、7歳の小学1年生に。平日は学校へ送ってから出勤し、学童保育へ迎えに行っている。3年前に実家を離れ、親子2人で暮らしている。「母に助けてもらってばかりではダメだなと、地に足をつけて自立して頑張りたいと思ったのがきっかけ」。ただ、生活の変化で苦労も増えた。「経済的に1人で回す状況で、毎月不安と戦っている。この年齢なので周りからの目も痛い」。耳元で「すき!」と言ってくれる幸希くんが心の支えだ。
■“若すぎる出産”に否定的な声 育児のハードルは
前回の放送後には、「年齢・家庭環境・経済力を考えると、子どもがかわいそう」「中学生で妊娠すること自体 無責任な行動」「親の扶養から外れてないでしょ? 親をあてにするな」「立派だけど いい事だとは思わない、貧困の連鎖が続く」などさまざまな意見もあった。
寄せられるコメントに横井さんは「傷つく言葉と、応援とが半々ぐらい」と語る。「周囲の厳しい目は気にしないようにしている。ただ、子育てに余裕がない状態で、それすら考えられない大変さだ」。様々な場面で周囲の目を感じるという。「役所の手続き時に相談すると、『なんでわからないの』と鼻で笑われたり、どこに行っても上から下まで全身を見られたりする。アルバイト先でも、体調不良で休む時に『若くして産んだから』と嫌な顔をされて、受け入れてもらえないことがあった」と明かす。
それでも「私はうまくいっているほう」と前向きだ。「家族や地域、同世代の友達、ママ友のサポートがあるから。頂き物やご飯をごちそうしてもらったり、息子を連れて行ってくれたりする。周囲のサポートがあって、私もリフレッシュできる。そばで見守ってくれる環境があっての今だと思う」。■男性の“逃げ得”なぜ? 横井さん「息子に関わってほしくない。その背中は見せられない」
横井さんが今回の取材で初めて明かしてくれたことがある。「妊娠の原因は、無理やりだった。『できちゃうよ、どうするの?』とリスクを伝えていたが、相手は『大丈夫っしょ。産めばいいじゃん』とわかってくれなかった」。その話はまだ母親に伝えていないという。「ただでさえ娘が気づかずに妊娠してしまったというところで、また傷つけるのは心苦しい」。責任を考えて出産を決断した裏で、男性の「逃げる選択」は許されている実情。今回、経緯を明かしたのは「前回出演後に『無理やりされた』という相談が多くあった。自分も一緒で、そのことを伝えたいと思った」のが理由だ。
横井さんは「女性の『嫌だ』はリスクを考えての言葉だと思う。男性は考えていないのか、教えてもらっていないのか。相手とは同じ中学校だったが、ちゃんと性教育を受けることはなかった。教わっていれば防げたのかもしれない」と疑問を呈する。ただ、「相手は責任を取りたくなかったのだと思う。もう関わってほしくないし、息子にその背中は見せられない」と指摘。息子から「パパはいるの?」と聞かれることもあるそうだが、「『いない』と答えている。性教育を絵本で始めていて、『パパとママがいないと僕は生まれないよね』と聞かれたら、『パパはいるね。でも幸希のところにはいないね』とちゃんと話す」と明かした。
責任をとる形のひとつに「養育費」があるが、受け取るハードルは高く、権利を得ても「逃げ得」となる可能性もある。そもそも子どもを「認知」してもらうことが必要で、認知・養育費と2回の裁判をしなければならない。また、不払い自体には罰則がなく、金銭的余裕がなく弁護士などに頼めないケースも珍しくない。厚生労働省の「令和3年度 全国ひとり親世帯等調査」によると、養育費を受けたことがない家庭は、母子家庭が56.9%、父子家庭が85.9%となっている。
横井さんも「裁判には時間やお金、労力がかかるが、全てをかけても確実にお金が得られるわけではない。簡単に逃げられてしまう現状があり、それを防ぐ仕組みを作ってほしい」と訴える。そんな中、自身が表に出る意義について、「公に話せる人は少ないし、そもそも親にも言えないという子からDMをもらう。そういう子たちのために動いているので、どんどん来てほしい。言いづらい環境がもっと変わってほしい」と語った。(『ABEMA Prime』より)
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