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 南海トラフ地震は津波の到達がわずか2分と想定されている地域もある中で、どのように対策を取ればよいのでしょうか。地震学が専門の東京工業大学・中島淳一教授の解説です。

■南海トラフ巨大地震、発生の確率は?

 今回、気象庁が発表したのは「巨大地震注意」という情報です。南海トラフ沿いで巨大地震が発生する恐れが“相対的に高まった”というものです。  内閣府のシミュレーションでは、南海トラフ巨大地震が発生した場合、津波の最大値は高知で34メートル、静岡で30メートルを超える津波が想定されています。  さらに、例えば和歌山の串本町などはわずか2分で津波が到達すると想定されている場所もあります。

 (Q.こういった地域では特に注意が必要になりますか?)

中島教授
「やはりこういった津波などもありますので、特に海沿いにおられる方は避難場所を確認したりとか、そういった注意が必要となります」

 (Q.どれくらいの期間、注意が特に必要ですか?)

中島教授
「1週間程度は地震発生の可能性が高まっていますので、1週間を目安に注意していただくのがよいと思います」

 (Q.1週間となると盆休みに入ってきますが、具体的にどのような対策が必要になりますか?)

中島教授
「お盆でふだん行かない所にレジャーで行ったりとか、そういった方もおられると思いますので、ご自身が行った先での避難所の確認や、万が一の時にどこに逃げればいいか、そういったことは事前に確認していただく必要があります」

 (Q.旅行や帰省の日程をずらすというほどまではないということですか?)

中島教授
「そうですね。そこまでの必要はないと思います」

 (Q.南海トラフ巨大地震は、30年以内に70〜80%の確率で起こるともいわれていますが、この確率が変わったということはありますか?)

中島教授
「確率というよりは、今回のようなマグニチュード7クラスの地震が起こった際に、その周辺で地震発生の確率がどのぐらい高くなったかというのを計算してみますと、平時に比べて約数倍高くなったということが評価されています」

 (Q.その確率は、どの程度変わったのでしょうか?)

中島教授
「もともと1000回に1回ぐらい、0.1%ぐらいだったのが、数百回に1回と0.5%〜0.4%になったという感じです」

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■日頃から備えを

■日頃から備えを

 初めて出される「巨大地震注意」という情報は、盆休みに重なってきています。

 (Q.注意情報をどのように受け止めたらいいのでしょうか?)

中島教授
「1週間という期間はありますけれども、そのなかで地震が起こるというわけでもありませんし、それが過ぎたからというと安全だということではありません。あくまでも1週間を目安に、ふだんから考えておられている防災について、より高い意識を持って確認していただきたいと思います」

 (Q.ふだんからの防災は、具体的に何が挙げられますか?)

中島教授
「自宅での物の落下とか、そういったことから自分の身を守るということは最優先ですし、出かけた先での避難行動というのはイメージしていただく必要があります」

 (Q.本当にいつ災害が起きるか分からない状況ということですよね?)

中島教授
「今回の地震もこの先30年の70%といわれていますが、いつ起こるのか場所もどこで起こるのかということが分かりませんので、日頃から地震に対して備えていただくということが一番大切になります」

(スーパーJチャンネル「newsのハテナ」2024年8月9日放送)

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