曽於警察署の元巡査長、藤井光樹被告(49)は、鹿児島県警察本部の公安課に所属していた去年6月からことし3月にかけて
▽刑事事件の当事者の個人情報が記された「告訴・告発事件処理簿一覧表」や
▽特定の個人の犯罪歴に関する情報を、福岡市のネットメディアの代表に漏らしたとして、地方公務員法違反の罪に問われました。

5日の判決で、鹿児島地方裁判所の松野豊裁判官は「個人の犯罪歴に加え、100件以上の情報を漏えいしていてプライバシーの侵害の程度は高い。ネットメディアの記者からの信頼や情報を得るためという主な動機は、捜査情報の漏えいを正当化できるものではない」と指摘しました。

そのうえで、元巡査長が動機の1つとして、警察組織に疑念や不満を抱いたと述べたことについては「被告自身の思い込みによる側面が小さくない」と述べました。

一方で、元巡査長が反省していることなどを踏まえ、「社会での更生の機会を与えるのが妥当だ」として、懲役1年、執行猶予3年を言い渡しました。

鹿児島県警察本部は、警察官や元幹部が相次いで逮捕されたことを受けて、今月2日に再発防止策を公表し、個人情報の漏えい防止策については
▽組織内のデータにアクセスできる権限の見直しや
▽全職員を対象にした「情報リテラシー」の向上に取り組むとしています。

元巡査長「申し訳ありませんでした」

元巡査長は判決のあと報道陣の取材に対し「罪を犯してしまったことで、全く関係のない数百人の個人情報が外部に流出した。謝れば許されることではないと思っているが『申し訳ありませんでした』としか言えない」と述べ、深く頭を下げました。

また「内部文書を漏らしたことは、組織の不正を通報する『公益通報』の意図があったのか」という質問に対しては「裁判所から指摘があったように、主な理由はネットメディアの記者との関係をよくしたいという個人的な欲望で、公益通報には該当しない」と改めて述べました。

そのうえで元巡査長は、控訴しない意向を示しました。

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