工場長からの暴言が原因でうつ病になったのに労災と認められなかったとして、堺市の自動車販売会社の男性社員が国に不認定処分の取り消しを求めた訴訟の判決が31日、大阪地裁(横田昌紀裁判長)であった。地裁は男性の訴えを認め、国の処分を取り消した。
判決によると、男性は2010年から同社で自動車整備士として働き、16年からは工場全体の作業管理を担っていた。16年9月ごろから、工場長から「おまえガンやぞ」「役降りろ」などと言われ、11月にうつ状態で自宅療養が必要と診断され、休職した。
男性は19年から3回、堺労働基準監督署に対し、労災認定に基づく休業補償の給付を申請したが、いずれも認められなかった。
会社側は「ガン」発言について、「『工場の中心的立場である』との意味で用いた」などと主張したが、判決は「悪性腫瘍(しゅよう)である『ガン』との意味で発言している」と指摘。工場長の発言はパワハラに当たり、業務による強い心理的負荷があったとして労災に当たると結論づけた。(大滝哲彰)
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