三菱重工業と量子科学技術研究開発機構(千葉市)は31日、フランスで建設が進む国際熱核融合実験炉(ITER)向け重要機器の試作品を横浜市で報道陣に世界初公開した。高精度な組み立てや加工といった製造技術を確立し、実機を量産する準備を整えた。核融合は二酸化炭素(CO2)を出さない発電技術として実用化が期待される。 核融合発電は原子核同士をぶつけて融合させ、その際に発生したエネルギーを電力に変換する。試作したのは炉内で生じた不純物などを排出する機器の一部。超高温への耐久性が求められ、実験炉の機器で最も製造が難しいとされる。 試作品の大きさは幅約0・3メートル、高さ1・5メートル。硬くて加工が難しい金属のタングステンなどを材料に使い、三菱重工神戸造船所(神戸市)が試作を担った。三菱重工は実験炉向けに実機を18基受注済みだ。 ただ、ITER計画は新型コロナウイルス禍などの影響で遅れている。運転開始は従来計画の2025年から34年にずれ込む見通し。計画には日本や米欧、中国などが参加する。
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