岩手医大病院(岩手県矢巾町)は30日、重い障害で体をほとんど動かせない10代男性が小児病棟に入院中の昨年10月、たんの吸引が不十分だったため窒息し、低酸素血症で死亡する医療事故が起きたと発表した。付き添いの母親が不在時に発生し、病院は吸引などの介助が日常的に必要な「医療的ケア児」に対する理解不足などが背景にあったと説明した。

 外部有識者を含む医療事故調査委員会の報告書によると、男性は昨年10月16日、発熱のため入院。同18日、母親はケアの内容や注意点を書いたメモを病院スタッフに渡して一時帰宅した。翌19日に男性の酸素飽和度が下がったため、看護師が酸素投与を増やし、口や鼻からたんを吸引したが、呼吸のため喉に開けた「永久気管孔」からは吸引していなかった。この看護師が別の患者を処置しているうちに男性は心肺停止となり同日死亡した。

 看護部長の佐藤悦子副院長は「担当看護師の経験が浅かった」として、気管孔からの吸引が必要との認識がなかったと説明。再発防止のため、ケア児への対応や小児疾患の教育を進めるとした。

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