オール富山ロケで、俳優やスタッフも富山県出身者中心の映画製作に取り組む監督が富山市にいる。同市出身の伊林侑香さん(25)は23歳で初めてメガホンを取り、現在は2作目が公開されている。いずれの作品も心に葛藤を抱える少女が主人公だ。「富山の風景を題材に、生きづらさを抱える人たちの物語をこれからも紡いでいきたい」と意気込む。(共同通信=金森純一郎)
自主製作映画を撮っていた父の影響で、幼少期から多くの作品に触れてきた。中学2年生の時、ディズニー映画「メリー・ポピンズ」を鑑賞し直し、幼い頃とは違う視点で楽しめると気づいた。「誰が見ても感動できる奥の深い作品を撮りたい」と監督を志した。
公開中の「祝日」は自死を決意した中学生の心の再生を描いた。デビュー作の「幻の蛍」は両親の離婚で離れ離れになった姉妹の物語だ。学校と家庭しか居場所がない少女たちに焦点を当てながら、悩みを抱える人々に光を与えたいという。
作品には木々が生い茂る朝日町笹川地区の森林や「日本のベニス」ともいわれる射水市の内川沿いなど、郷愁を感じさせる富山県内の美しい自然がたくさん登場する。
「生まれ育った土地だからこそ、富山の風景をきれいに映したい」と話す。地元の若い俳優が自身の作品から世界に羽ばたいてほしいという願いもある。
「幻の蛍」は国際的な映画祭でも上映された。「このきれいな日本の風景はどこ?」「どこか懐かしさを覚える景色が好きだ」といった反響が海外や県外の人からも多く届いた。
「富山の魅力をちゃんと伝えられているという手応えがあった」と伊林さん。いつか、富山伝統の祭り「おわら風の盆」を題材に作品を撮るのが目標だ。
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