山形・秋田では記録的な大雨の影響で河川が氾濫し、大きな被害が出ています。川からは水があふれ出し至るところで道路が冠水。3月に開通したばかりの高速道路も一部が崩落しました。
これまでに経験したことのないような大雨に見舞われた山形県。収穫を目前に控えた梨畑にも、浸水被害が出ていました。
■再び大雨特別警報 「予測は非常に難しい」
小康状態を迎えていた雨は、夜中に再び激しくなりました。 25日午後1時すぎ、今年全国で初めて「大雨特別警報」が発表された山形県。1時間の降水量が少なくなってきたことなどから、午後8時10分に気象庁は「特別警報」を「警報」に引き下げました。 気象庁 杉本悟史予報課長「(Q.再度の特別警報の可能性は?)しばらくの間は、特別警報になるということはちょっと考えにくいのではないか」 しかし、その2時間半後の午後10時40分、山形県に新たに「線状降水帯」が発生。「警報」への引き下げから3時間30分後の午後11時40分、山形県に再び「大雨特別警報」を発表しました。 杉本課長
「(Q.なぜまた『特別警報』を発表することになったのか?)線状降水帯が発生するような集中の仕方をするというところまでは予想ができていなかった。以前は50年に一度ということばを使っていたが、それだけの顕著な現象を予測するのは非常に難しい」
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■警察官2人が行方不明に…救助要請で■警察官2人が行方不明に…救助要請で
25日、記録的な大雨に見舞われた山形県は酒田市や新庄市などで、24時間の降水量が観測史上最大を記録しています。 酒田市内を流れる荒瀬川から濁流があふれ出し、道路が冠水。荒瀬川沿いを走る国道344号が、まるで川のようになっています。荒瀬川の越水は、他の場所でも。25日午後2時40分ごろ撮影された映像では、あふれた濁流が土手を乗り越え住宅まで押し寄せ、畑の方にも流れ込んでいます。
普段の様子と比べると、のどかな風景が一変しているのが分かります。 付近の住宅では玄関先まで泥水が入り、靴が散乱しています。 同じく酒田市内を流れる日向川も水位が上昇。気象庁は午後6時に日向川の氾濫を発表。ちょうどその頃に撮影された映像では、住宅まで泥水が押し寄せ、車はタイヤの半分ほどまで水に浸かっているのが分かります。 その日向川と荒瀬川の合流地点では、川沿いのおよそ40ヘクタールで梨の栽培が行われていますが、今回の大雨で冠水し、まるで池のように。 地元の梨農家によると、梨畑の3割から4割程度が浸水したということです。 梨農家「梨の収穫もあと1カ月くらいで始まるんですが、今まで順調に来ていたのに、ここに来てこういう被害があり、がっかりしました」 地域ブランドの「刈屋梨」を栽培しているこの一帯。被害状況は、水が引いてからでないと分からないということです。 梨農家
「水が引いた後の木の状態がどうなるのかとか、梨につくような病気の発生がどうなるのか心配」 酒田市に隣接する遊佐町では、大雨の影響で高速道路の一部が崩落しました。 警察によると、山形県に2度目の大雨特別警報が出された25日午後11時40分頃、新庄市でパトカー1台が増水した川に流され、乗っていた警察官2人が行方不明に。 2人はいずれも20代の男性巡査で、住民からの救助要請を受けて現場に向かっていた途中だったということです。
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■「恐ろしくて眠れなかった」断水も発生■「恐ろしくて眠れなかった」断水も発生
一方、秋田では25日、複数の河川が氾濫し「緊急安全確保」が出されました。
秋田県由利本荘市を流れる石沢川。25日は木々が水につかり、かなり水位が上がっているのが分かります。 25日、石沢川では堤防が決壊し氾濫が発生。流れ込んだ水は、シャインマスカットの畑やトウモロコシ畑にも流れ込んでいます。 撮影者「30センチばかりの上がり台に乗って作業していたが、あっという間に下りられなくなった。(こんな経験は)69年経って初めて。(被害としては)たぶん病気が出るんじゃないかなと心配している」 由利本荘市では、86世帯231人に警戒レベルとして最も高い「緊急安全確保」が出されました。 住民
「水位がどんどんどんどん上がってきて。そういう状況で、まいったなと」
由利本荘市では、24日から雨が降り続き24時間雨量で観測史上最大を観測しました。
午後2時、本流の子吉川も氾濫しました。さらに、にかほ市では24日に市内を流れる琴浦川が氾濫。周辺の住宅にも水が押し寄せました。川の氾濫の影響で住宅の土台は、えぐれたようになくなっています。
こちらも土台が削られ、室外機が今にも落ちそうです。 倒れたブロック塀が、浸水の勢いを物語ります。 住民「ここまで泥水がすごかった。きのうは恐ろしくて眠れなかった。床下はたぶん入った。小屋と車庫は15センチくらい水が入った。災害って恐ろしいね」 こちらの家は、家の中が泥まみれになっていました。住宅の被害は床上浸水が17棟、床下浸水が25棟となっています。 湯沢市の国道13号では、土砂災害により60代の男性1人が行方不明となっています。横手市では5カ所で土砂崩れが発生。床上、床下浸水の被害は合わせて35棟に上っています。
周辺では断水も発生。不安な夜となりました。
住民「この辺りは年寄りが多いので、水をくみに来られる人がいない。地域の人にも、若い人たちがくんで持って行っている」
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■引き続き、厳重な警戒を■引き続き、厳重な警戒を
激しい雷雨が続き、道路の冠水が相次いだ新潟では、道路の境目が分からない程冠水し、車の往来がある度に波が押し寄せます。 冠水のせいか、立ち往生している車の後ろから波を立てながら進むバイク。しかし徐々に失速し止まると、手で押しながら進むことに。 新潟では、1時間雨量が47ミリとなり、7月の観測史上3番目を記録しました。被害は、これだけにとどまりませんでした。噴水のように激しく噴き出す水。よく見ると、隣の建物よりもはるかに高く噴き出しています。
撮影者「えぐい、やば」
JR新潟駅前の飲食街でも道路が冠水し、飲食店でも被害が出ていました。
飲食店 店主「ここの上までは(水が)来てましたね。座布団が濡れちゃってるんで、厨房(ちゅうぼう)の方も、もう冷蔵庫つかないんで。ちょっとやられたな」
東北では、26日夜にかけても雨が強まりやすい状況が続きます。引き続き、土砂災害や河川の氾濫などに厳重な警戒が必要です。
テレ朝天気(「羽鳥慎一 モーニングショー」2024年7月26日放送分より)
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