中央教育審議会(文部科学相の諮問機関)の特別部会は26日、教員確保のための総合的な対策の工程表を示し、小学校5、6年で実施している教科担任制を2025年度から3、4年に拡大するとした。ほぼ全教科を担当している教員の負担を減らすことで、働き方改革を進め、授業の質向上も目指す。

特別部会は同日、教員確保策を盛り込んだ答申案を公表。教科担任制の拡大のほか、教員の残業代の代わりに基本給に上乗せする「教職調整額」を10%以上とする待遇改善などを盛り込んでおり、工程表はこれらの対策を着実に進めるために作成した。中教審は8月にも答申を出す方針だ。

教科担任制は中学校や高校で実施しており、小学校では22年度に5、6年で始まった。従来は1人の教員が国語や算数などほぼ全ての教科を担当していたが、教科専門の担当を置くことで、1人ずつの授業数を減らし、教材研究などの負担を軽減する。

教科担任制の拡大には教員定数の改善が必要で、文科省は25年度当初予算案の概算要求で関連経費を計上する方針。同省は5、6年への導入時、22〜24年度で定数を計3800人増やした。3、4年についても複数年かけて増やす考えだ。

足元では教員の採用倍率の低迷が続いており、教科担任制を浸透させるためには、答申案に盛り込んだ待遇改善や働き方改革を着実に実行する必要がある。

工程表によると、25年度から不登校の未然防止と早期発見に向けて全中学校に生徒指導担当の教員を配置。若手教員へのサポートと学校内外の連携や調整を担う新たな職を創設し、26年度から中堅層の教員の任用・配置を開始する。学校プールの管理の民間委託、部活動の地域移行の推進も盛り込まれた。

教職調整額の増額に向けては、教職員給与特別措置法(給特法)の改正案を25年の通常国会で提出する。

質の高い教員の確保は、次代を担う子どもの教育の改善に欠かせない。文科省が答申案についてパブリックコメント(意見公募)を実施したところ、1万8千件を超える意見が集まったといい、同省担当者は「重要な課題だという国民の共通した問題意識が反映された結果だ」とする。

意見には働き方改革の対策案を支持するもののほか、「長時間労働を容認・助長する」などとして給特法の廃止や抜本的な見直しが必要だとする指摘などがあった。

(森紗良)

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